2011年12月25日

2011年12月の医療ニュース 不育症やiPS細胞、トラウマ治療など

不育症:ヘパリン自己注射、国が保険適用承認

 血栓症の治療や予防に使われる抗血液凝固薬「へパリンカルシウム製剤」について、厚生労働省中央社会保険医療協議会は21日、在宅自己注射の保険適用を承認した。へパリンは流産や死産を繰り返す不育症の患者に広く使われている。自己注射は負担が大きいとして患者団体と学会が保険適用を求めており、朗報となりそうだ。

 不育症の発症者は年約3万人と推定される。胎盤や子宮に血栓ができると胎児に栄養が届きにくくなり、同省研究班の報告によると、血栓ができやすい体質が原因とみられる不育症患者は全体の約25%を占める。

 不育症予防のヘパリンは1日2回の注射が必要。毎日の通院は困難で、自宅で打つのが一般的だ。自己注射は保険適用外で月5万円程度かかり、妊娠中投与を続ける人も多い。

 ヘパリンは出血などの恐れがあるが、同省は研究班の患者調査などから「大きな副作用はみられない」と判断、治療の有益性が危険を上回ると判断した場合のみ、投与を認めた。



 不育症が治れば、少子化対策にもなりますからねぇ。育てられる暖かい家庭があるのに子供が出来ないというのはなかなか悲しいものです。こういう治療法があるのは、リスクはあっても、ありがたいことですね。





ひざの半月板、再生治療法を開発 東京医科歯科大

 一度傷つくと再生が難しいひざの半月板を、自分のひざの滑膜という組織からとった幹細胞で再生させる治療法を、東京医科歯科大の関矢一郎教授(軟骨再生学)が開発し、来年4月にも臨床研究を始める。半月板の損傷は、全国に2500万人という変形性膝関節症につながる。歩きづらいひざの痛みに苦しむ患者には朗報になりそうだ。

 半月板は関節軟骨に挟まれた軟骨組織で、クッションの役目をする。加齢などですり切れると、手術で縫い合わせて補強したりするが、手術できない場合も多い。症状が進めば、痛みをとるためにすねの骨を切って向きを変えたり人工関節を入れたりする。

 新しい治療法では、患者のひざの状態を内視鏡で確認するとき、半月板の近くにある滑膜の一部を採取。2週間培養して増やした幹細胞を、注射器で半月板の損傷部に移植して再生させる。同大で3年間で20人ほどの患者を対象に臨床研究を行ったあと、他の病院にも広げて臨床試験(治験)を行う。



 整形外科ジャンルだと、iPS細胞なども使いやすそうですね。膝の摩擦をとってあげるために半月板を再生できれば、お年寄りでも痛まず歩くことができるようになる=認知症のリスクも減るかもしれません。





患者の顔を叩いて睡眠時無呼吸を改善する枕型ロボット

 クマのぬいぐるみを改造して作られた「じゅくすい君」と呼ばれるこのロボットは、クマのおなかの部分が枕として機能すると共に、クマの腕が動いて、寝ている人の顔や首に直接触れて刺激を与える事ができるようになっています。

 "まず、指にはめるパルスオキシメータで血中酸素濃度を測ります。あとは、このクマの中に入っているマイクで「いびき音」を収集します。その2つを合わせてパソコンで判定をして、そしてそれをアクチュエータに反映して、その人の症状によってアクチュエータの動かし方を変えていきます。それでアクチュエータの動きによって、寝返りを促したり、ひどい無呼吸状態の時には、患者さんを起こしてしまいます。"

 現在、睡眠時無呼吸症候群の患者数は、国内だけで約200万人いると言われており、これによって起こる日中の眠気や集中力の低下が重大な事故に繋がる事例も報告されています。



 これは素晴らしい。睡眠時無呼吸症候群の恐ろしいところは、自分では気づかないところや、医師によってはかなり軽視している人がいるというところですね。毎日抑うつ状態が続き、眠気が酷い、それで睡眠時無呼吸症候群を疑わない医者もどうかと思うのですが…。こればっかりは検査するしかないので、お近くの病院へ。





エベレスト級経験で抗酸化酵素6倍 元五輪選手が論文

 エベレスト級の山への登山経験がある人の血液には登ったことがない人に比べ、低酸素による体へのダメージを抑える酵素が約6倍も多い――そんな測定結果をプロスキーヤー、三浦雄一郎さん(79)の次男で元五輪モーグル選手の三浦豪太さん(42)ら順天堂大などのグループが確かめ、米医学誌に論文を発表した。

 酸素が薄い8千メートル級の山に登ると、老化につながると考えられる活性酸素が発生しやすくなり、体に負担がかかることがわかっている。しかし、酸素が薄い状態が続くと「高地馴化(慣れ)」と呼ばれる現象が起きる。70歳を過ぎてエベレストに2回登頂した雄一郎さんも登頂時には高度をゆっくり上げて体を慣らしていく。

 豪太さんらは、雄一郎さんら経験者と未経験者計17人の血液成分を比較。経験者は、ダメージを防ぐ働きのある酵素「HO―1」が約6倍多く含まれていることがわかった。未経験者でも、低酸素室で高地トレーニングをすると、この酵素を作るのを促す遺伝子の働きが活発になっていた。経験者は最長で半年、酵素の高い値が続いたという。



 低酸素の状態にずっといることで、活性酸素のダメージは多いのかと思いましたが。実際はその後の「慣れ」の時間があれば、最終的には健康に近づく、と。まぁスポーツ選手でもない限りそんな高地で生活することもないんでしょうけれども。…高地というと、キリマンジャロでキリマンジャロコーヒーを飲む企画で反町さんがキリマンジャロへ実際に上った特番をいつも思い出します。あの寒そうな高地で飲んでいたコーヒーは美味しそうでした。





iPSで作った肝細胞、世界初発売へ

 あらゆる種類の細胞に変化できるiPS細胞(新型万能細胞)から作った肝臓の細胞を、バイオ企業「リプロセル」(横浜市)が来春、世界で初めて発売する。

 新薬の副作用検査で利用する製薬会社に向けたもので、現在輸入に頼っていた肝細胞が国内で入手できることになり、国内での新薬開発に大いに役立つと期待される。

 発売する肝細胞は、医薬基盤研究所(大阪府茨木市)が開発したもので、iPS細胞に3種類の遺伝子を組み込んで変化させた。価格は500万〜1000万個の肝細胞に、培養液などをセットにして、20万〜30万円の予定。

 人体に投与された薬は最終的に、肝臓で分解される。この際にできた物質が副作用を起こす恐れがあり、新薬開発では、人の肝細胞を使った、安全性確認が必須となっている。



 薬を開発する会社にとってはかけがえのないキットになりそうです。今までは全部輸入でしたもんねぇ…。いやーこれからは国産で色々できる時代かもしれません。





「トラウマを消す薬」を米軍が研究

 PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しむ兵士は少なくとも250,000人にのぼるが、これまでのところ、国防総省が試してきた治療法はどれもうまくいっていない。抗鬱薬や行動療法といった従来型のアプローチは、大失敗に終わっている。

 こうしたなか、米国防総省は12月13日(米国時間)、軍が実施するPTSD研究に関して、長期にわたって中核となる3つの研究機関に対する合計1,100万ドルの補助金を発表した。ニューヨーク長老派教会病院ワイル・コーネル・メディカル・センター、南カリフォルニア大学、およびエモリー大学において、D-サイクロセリン(DCS)の有効性に関する研究を専門家が行うことになる。

 DCSは、恐怖記憶の消去を促進するとされている薬だ。たいてい、曝露療法(疑似体験療法)の直前に、このDCSを服用する。

 曝露療法とは、心的外傷(トラウマ)による恐怖の連想を無効化するために、安全な環境でトラウマ的体験を再び体験するものだ。心は、過去の出来事を思い出すたびに、その記憶を「上書きする」。曝露療法によって、患者が心的外傷の記憶をより恐ろしくないものに書き直す方向に持っていくことで、悪夢やフラッシュバックなどの症状を著しく改善できることが複数の研究で示唆されている。

 曝露療法の際に用いられるDCSは、恐怖反応の統制に関与している脳の経路に働きかけ、書き直しを促進すると考えられている。DCSにより、脳が学習するプロセスが強化されるようだ。DCSはまた、恐怖反応を司る脳の領域である小脳扁桃にあるレセプターと結合する。そのため、患者がトラウマ体験を再体験している「あいだに」恐怖反応をブロックすることで、DCSは恐怖を出どころから、文字どおり「消去」できると専門家は考えている。

 DCS自体は1960年代から存在しており、最初は結核の治療に使われた[抗生物質の一種]。しかし現在は、抑鬱症、統合失調症、強迫性障害、そしてPTSDなどの症状を緩和して、錠剤の常用をせずにすませられるという可能性のほうに、研究者は関心を向けている。

 エモリー大学の研究チームは、PTSD、高所恐怖症、および強迫性障害の患者に、DCSとバーチャル・リアリティーの利用をすでに試みている。バーバラ・ロスバウムらの同大学の研究チームは2006年以降、患者にDCS、ザナックス[抗不安薬]、また偽薬を用いて、曝露療法の比較実験を行っている。



 薬で簡単に治る類のものではないと思いますけれども、うまく専門の精神科医が使って1年ほどみっちりかければ、普通のトラウマよりは良くなるのかもしれませんねぇ。





ビールの飲み過ぎで胃がんリスク上昇―欧州研究

 心臓病の予防や免疫力向上など、さまざまな効能が報告されているアルコール。しかし、飲み過ぎると多くの障害を引き起こすのはご存じの通りだ。こうした中、スペイン・ベルビチェ生医学研究所のEric J. Duell氏ら欧州の共同研究グループは、アルコール、特にビールの多量摂取が胃がんリスクと関係すると、「American Journal of Clinical Nutrition」(2011; 94: 1266-1275)に発表した。

 アルコールと胃がんの関係は多くの疫学研究で検討されてきたが、結果は一致していない。同グループは、がんと栄養に関する大規模疫学研究(EPIC)で確認された胃腺がん患者444例を含む症例対照研究で、アルコール摂取と胃がんとの関係を評価した。

 喫煙習慣、胃がんの発生部位(噴門部=胃の入り口=と非噴門部)、組織型(胃型と腸型)によって分類し、1日の純エタノール摂取量による胃がんのリスクを算出した。

 その結果、純エタノールにして1日0.1〜4.9グラムの少量のアルコール摂取と比べ、1日60グラム(ビール中瓶3本分、グラスワイン5杯分に相当)以上の多量摂取は胃がんリスクが1.65倍と高かった。アルコール飲料別の解析ではビール(1日30グラム=中瓶1.5本分=以上、1.75倍)だけが胃がんリスクと関係し、ワインや蒸留酒では関係は見られなかった。

 この関係は主に最も飲酒量が多い男性で観察され、非噴門部の腸型胃がんに限られていた。なお、女性については、1日125ミリリットルのビールを飲んだだけで乳がんリスクが上昇すると報告されている



 ビール瓶1.5本?結構すぐなのね…。要するにお酒はあまり飲まないほうがいいということですね。うーむ、毎日飲むのは確かに不健康だけれども、たまにだったら、ねぇ。





多気町の万協製薬、今年の外用薬ヒット商品「アットノン」の製造で貢献

 スキンケア商品のアウトソーシング会社「万協製薬」(多気町)が、今年220万本以上の売り上げを達成した小林製薬(大阪市中央区)の外用薬「アットノン」の製造部門を担当し、ヒットに貢献した。

 同社は1960(昭和35)年創業、神戸市に本社を構えていたが、1995年1月の阪神淡路大震災で工場を全壊した。1996年11月に本社工場を三重県多気町に移転、以後、クリーム剤や軟こう剤などの外用薬や化粧品などの製造に特化した受託メーカーとして業績を伸ばしてきた。現在約70社と取引があり、約200品目の製造を任されている。2009年には経営品質を表彰する日本一の賞「日本経営品質賞」を受賞。

 今年の3月に発売した同商品は透明ジェルタイプの塗り薬。血行促進、抗炎症、水分保持などの作用がある「ヘパリン類似物質」の有効成分の働きにより、切り傷ややけど跡を目立たなくする薬として、テレビCMや口コミ効果により爆発的に売れた。

 同社の松浦信男社長は「『アットノン』は新しい薬の使い方を提案して市場に受け入れられた商品。小林製薬さんのマーケティング力がヒットにつながり、10万個売れればヒット商品といわれる業界の中で220万個が売れた。お客さまと一緒にヒット商品を出すことを目標にしていただけにとてもうれしい」と話す。

 「相手先のブランド名で製造するOEMから、設計から製造までを手掛けるODM(オリジナル・デザイン・マニュファクチュアラー)を目指して、日本中のお助けマンに徹していく」とも。



 へぇ、いい目のつけどころですね。確かに傷や痕をとることを主軸においた薬はなかなかなかったかもしれません。こういう製品のただしさが、日本の医薬品を担っているんでしょうねぇ。





テルモの補助人工心臓でトラブル 7件、死亡なし

 テルモ(東京)が製造、販売した埋め込み型補助人工心臓で、ケーブルの一部が断線するトラブルがあったことが22日、分かった。同社と厚生労働省が発表した。

 トラブルがあったのは、昨年12月に承認された「デュラハート」。これまで日本国内で延べ46人が使用し、うち36人が継続的に使っている。5人(7件)でケーブルの一部断線や、その疑いがある不具合が見つかったが、ポンプの安全装置が働き、人工心臓そのものの機能が止まることはなく、死亡例もないという。同社は36人に、医療機関を通じて説明済みという。原因は調査中で、今後改良するとしている。



 画期的補助人工心臓なのです、が。要するにこの装置が完全に止まってしまうと死んでしまうような代物なのですが、安全装置でうまくカバーできていたようです。今後このあたりの改良を重ねることでエラーを極力減らすことができるでしょう。また、できることならこうやってカバーしている間に、心臓移植の件数が増えるといいんですけどねぇ。





豊胸バッグ「除去」勧告=破れる恐れ、日本でも販売−仏

 フランスの企業が製造していたシリコーン入りの豊胸バッグが体内で破れる恐れがあるとして、仏保健省は23日、除去手術を受けるよう勧告した。対象は仏国内だけで約3万人に上るとみられるが、AFP通信によれば、日本を含む65カ国以上で販売されていたという。

 問題のバッグは、昨年倒産し清算手続き中のポリ・アンプラン・プロテーズ(PIP)社が製造。医療用でない工業用シリコーンを使い、発がん性を指摘する声も出ていた。

 保健省は声明で、このバッグを使用した女性が「他の女性と比べ発がんリスクが高いわけではない」としながらも、体内で破れて炎症を起こす恐れがあるため、予防措置として除去を勧告した。



 なんでこの会社、医療用でないシリコン使ってしまったの?儲けを求めるあまり安さに走ったの?そういう会社は例外無く早死によ?しかもこれ、どうやってこの会社のシリコン使ったか、分かるんでしょうか。美容形成で説明してくれるんでしょうか?怖いわぁ。





尿発電によるワイヤレス尿漏れセンサーシステムを開発

 多数のセンサー群を人、物、環境中に配置し、各種の情報をセンシングし、我々の生活の安全・安心を支えるセンサーネットワークでは、電池交換の不要なバッテリレス端末が必須となります。道関研究室では、エネルギー源として、我々の身の回りに存在する熱、光、運動エネルギーといった、微小ながらどこにでも存在するグリーンエネルギーを活用したバッテリレスシステムの研究を進めています。

 センサーネットワークの応用分野の1つに介護があります。病院等での高齢者介護では、介護者が定期的に被介護者のおむつの状態を確認し、おむつの状態に応じておむつの取り替えを行っていました。被介護者の各おむつに尿もれセンサーを取り付け、センサーネットワークで各おむつの状態を把握できれば、介護者の不要な確認作業の負担を軽減でき、また、被介護者の尿漏れによる不快感を軽減できます。しかしながら、既存の尿漏れセンサーは、電源コードが必要で被介護者の動作を束縛する問題や、無線型の尿漏れセンサーでは尿検出および無線に電池が必要で電池交換の必要性や小型化できない問題がありました。



 おむつってのは、まぁ確かに不快なものではありますね…。何とかうまいこと、お互いが楽な介護ができればいいんですけどね。こういうニュースのような技術革新があると、少しずつ、現場の医療も改善していくんだなと実感できます。
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posted by さじ at 20:03 | Comment(0) | NEWS
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