湾岸戦争(91年)に従軍した兵士が「湾岸戦争症候群」と呼ばれる慢性の複合的健康障害を訴えている問題で、米科学アカデミー医学研究所は13日までに、健康障害の発生率は非従軍者より高いが、同戦争への従軍が唯一の原因だと示す証拠はないとの医学文献調査の結果をまとめた。復員兵団体は「従軍者の健康状態に問題があるのは事実で、一層の研究や支援をすべきだ」と指摘している。
従軍者が訴える主な症状は、慢性疲労や記憶力・集中力の低下、関節痛、皮膚症状など。同研究所によると、従軍者1061人と非従軍者1128人を比較したところ、複数の身体症状を訴える人の比率は従軍者で29%に上り、非従軍者の16%のほぼ倍に達したとする調査があった。心的外傷後ストレス障害(PTSD)やうつ症状でも、4886人を対象にした別の調査で従軍者の発生率は6%で非従軍者(3%)の倍だった。筋萎縮性側索硬化症(ALS)や脳腫瘍、睾丸がんでも、従軍者の方が非従軍者より発生率が高いとの複数の調査があった。
しかし、いずれの疾患も非従軍者にも見られるものであり「湾岸戦争への従軍だけに関連付けられるとは言えない」と結論づけた。一方で、従軍と健康被害の関連を判定するうえで必要な科学的データの不足から過去の研究には限界があるとして、将来の紛争での派遣前後の健康調査の徹底や、がん、ALS、先天性障害の継続調査を勧告した。
調査は米連邦議会の指示に基づく復員軍人省の委託で行われ、湾岸戦争従軍兵の健康状態に関する過去の研究論文850本を専門家13人で構成する同研究所の委員会が精査した。独自の調査は行っていない。
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まあそりゃ、非従軍者にも見られるだろうよ。ただそのリスクとして湾岸戦争があるかないか、なのですから、確率の問題でしょう。
戦争が何らかの神経症状を来たしたことは十分考えられますし、ALSや睾丸がんが増加していることを考えると何らかの毒物による中毒の可能性も。うつに関して言えば、戦争後、生活の変化からどうしていいか困惑し、何もできなくなってしまうなどのアフターケア不足も考えられます。推測の域を出ませんが、これから出た結論は隠さずに発表してもらいたいものです。
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