内臓の周りに脂肪がたまる内臓脂肪症候群(メタボリック・シンドローム)に陥ると、動脈硬化や糖尿病だけでなく、胃がんのリスクも高まることが、東大腫瘍外科の北山丈二講師らの研究でわかった。
肥満解消が、がんの予防や再発防止にもつながる可能性を示す成果と言えそう。今月下旬に横浜市で開かれる日本癌学会で報告する。
北山講師らの研究チームは、脂肪細胞から分泌される「アディポネクチン」というホルモンに着目した。脂肪の燃焼を助ける働きなどをするが、内臓脂肪症候群になると、分泌量が減り、血液中の濃度が下がる。
チームが突き止めたのは、アディポネクチンに強力な抗がん作用があること。ヒトの胃がん細胞を移植したマウスにこのホルモンを投与すると、腫瘍が最大で9割も減少した。
さらに、胃がん患者75人の血液中のアディポネクチン濃度を調べたところ、がんの進行した患者ほど濃度が低かった。このホルモンは、胃がん細胞と結合しやすい構造をしており、結合したがん細胞を殺す働きがあるとみられる。抗がん作用は、血液1ミリ・リットルあたりの量が0・03ミリ・グラムを超えると強まる。内臓脂肪症候群の人の濃度は、その5分の1〜6分の1という。がん増加原因として、脂肪の過剰摂取が挙げられるが、がんを引き起こす仕組みは十分に解明されていない。
内臓脂肪症候群に詳しい松沢佑次・住友病院(大阪市)院長「乳がんや子宮がんと内臓脂肪の関連も最近指摘されている。一層の研究を進める必要がある」
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アディポネクチンSugeeeee。単に生活習慣病と関連しているだけでなく、強力な抗がん作用まで持つとは。つまり生活習慣病になってアディポネクチン量が低下すれば自ずと発癌リスクも上がるという仕組み。
これは商業的に「来る」かもしれません。医学的にも証明された、アディポネクチンの凄さ。とりあえず日常で出来ることといえば「緑茶」を飲むことでしょうか。緑茶で、健康生活。
参考:【第65回】アディポネクチンに注目/東海大学医学部久保明教授
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脂肪が,多ければ,「アディポネクチン」も増えるのかと単純に思ってましたが,違うのですね.
で、ですね。白色脂肪細胞の役割は、脂肪を蓄えることなんです。アディポネクチンは白色脂肪細胞から分泌されていますが、中性脂肪を溜めすぎるととその分泌は低下するようです。
脂肪細胞数には個人差がありますが、その数が多ければアディポネクチン分泌量も多いでしょう。しかし脂肪が多ければ、アディポネクチン分泌量は低下するというわけです。
そして、内臓脂肪症候群となりアディポネクチン分泌量は更に低下。ゆえに悪循環に巻き込まれる、というわけです。