栃木県下野市の自治医大付属病院(島田和幸院長)は13日、今年4月以降、入院患者8人が食中毒を起こすセレウス菌に院内感染したとみられると発表した。うち2人は死亡、1人は片方の目を失明しており、病院は感染との因果関係を調べる。
8月中旬、発熱などの症状を示した患者がおり、病院が調べたところ、計24人からセレウス菌を検出。うち8人が血液中に細菌が侵入する菌血症とみられた。外部委託業者が洗った洗濯物を調べると、通常は1平方センチあたり数個のセレウス菌が、タオルから1万個以上、シーツから数百個検出されており、病院は、点滴時に患者の血液に入ったとみている。
同様の事例は、1992年に英国の病院で起きているが、国内では初めてとみられるという。ただ、死亡した2人は、重病で入院していたため、セレウス菌感染との因果関係は不明としている。病院はタオルやシーツを滅菌処理するなどの対策を講じた。
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セレウス菌はボツリヌス菌やブドウ球菌と同じ、毒素型の食中毒を起こします。普通の食中毒と違ってセレウス菌は食物に毒素を残し、それを摂取することによって症状となって現れるのです。
セレウス菌食中毒には嘔吐型と下痢型があり、日本では嘔吐型が多いようです。嘔吐型の症状は、食後30分から6時間で嘔吐が出現し、ときどき腹痛や下痢が見られる場合もあります。通常は発熱は見られません。嘔吐型の症状は、24時間未満に収まるのが通常です。黄色ブドウ球菌による食中毒で見られる嘔吐症状とたいへん似ています。嘔吐型毒素は加熱してもこわれにくいので、食前の加熱では予防できません。
要するに菌が繁殖して毒素を出す前に食べてしまえということです。穀物系がやられやすいので、パスタやチャーハンの作り置きなどにはご注意を。粉ミルクから新生児に感染したケースもあるようです。
参考:
セレウス菌による食中毒について・・・横浜市衛生研究所
IDWR:感染症の話 セレウス菌感染症