生体肝移植手術で肝臓を提供した人の「健康管理手帳」を、肝移植にかかわる厚生労働省研究班(班長=里見進・東北大病院長)が作った。手術をした病院だけでなく、近所の医療機関でも手術後のケアを受けやすくし、提供者の不安を解消するのが目的。千葉市で開かれている日本移植学会で9日、発表した。
生体肝移植は親子や配偶者、兄弟で臓器を提供する例がほとんどだ。提供者は手術実施病院から遠くに住んでいるケースも目立つ。術後に体調不良などで自宅近くの医療機関を受診して肝臓を提供したことを告げると、「手術した施設で受診してほしい」などと診察を拒否されるケースもあるという。
手帳は、母子健康手帳とほぼ同じB6判で約40ページ。手術実施病院が、提供者の経過、担当医や連絡先などを記録する。術後の定期検診を図るための欄も設けた。今後、肝臓提供者全員に渡す。
生体肝移植は、国内では89〜05年に55施設で約3800件が実施された。03年に京都大病院で提供者が死亡する例があり、今年7月には群馬大病院で薬の量を間違えたことで下半身まひになった例が明らかになった。日本肝移植研究会の調査では、傷のひきつれや感覚のまひ、疲れやすさなどを訴える提供者が術後1年以上たっても多い。
手帳の作製にあたった首都大学東京の清水準一准教授(看護学)は「どの医療機関でもまずは提供者を診てほしい。その際に手帳を役立ててもらいたい」と言っている。
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アフターケアも医療においては重要です。特にドナー側がたらいまわしにされるなどあってはならないこと。工夫を施した清水準一准教授に拍手。あとは医師全体がこの手帳を見て対応できるような認識が広まれば良いだけです。
参考:生体肝移植 看護 健康社会学 : 清水準一のWeb Site
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