市民が緊急の際に行う救命救急の方法が、国際基準の変更に合わせて変わることになった。これまでの方法だと、15回だった心臓マッサージは30回に増やし、口と口をつける人工呼吸に抵抗があれば、「マッサージだけでもOK」に。総務省消防庁と厚生労働省が、全国の消防本部や病院などに対し、市民に教える新たな救命方法を通知した。民間レベルでの「救命救急効果を高める」のが目的だが、変更に伴う準備が間に合わない指導現場では混乱も予想される。
家族が自宅で突然倒れたり、駅などで近くにいた人の呼吸が急に止まったりした際の対処方法は、一般市民の場合、地元の消防署や病院などで習うケースが多い。
昨年末、救命救急方法の国際基準が変わったことを受け、日本救急医療財団が「日本版救急蘇生ガイドライン」を作成。これを受けて、両省が都道府県を通じ、市民向けの救急救命の指導現場に、教える内容を改めるよう通知した。
それによると、従来は2回人工呼吸をした後、心臓マッサージを15回行っていたのを30回に増やした。自動体外式除細動器(AED)は3回連続して電気ショックをかけていたところを、今回から1回にして、すぐ心臓マッサージを始めるよう改めた。日本版ガイドラインを作成した兵庫医科大学の丸川征四郎教授は、「とにかく、心臓マッサージをし続けることがポイント。『人工呼吸をしたくないから、心臓マッサージもしない』という姿勢だと救える人も救えない」と話す。
さらに、口と口をつけて行う人工呼吸に抵抗がある人は、心臓マッサージだけでもいいことになった。「直接息を吹き込むこと」は救命にとって重要だが、これまでの研究で、人工呼吸に時間がかかりすぎて心臓マッサージが中断されるより、マッサージを続けた方が救命効果が高いことが、わかってきたからだ。
ただ、一方で、これらの変更に現場が追いついていないのも現実。9日の救急の日には、各地の消防本部が救命救急のイベントを開くが、新しいやり方の披露が間に合わないケースが多いという。さいたま市消防局の担当者は「テキストを変えたり、救急隊の研修をしたりと準備に時間がかかり、当面旧バージョンで教えざるを得ない」。
加えて、AEDは音声に従って操作する仕組みだが、出回っているものの大半は以前の救急方法に沿った内容。新しいやり方を習った人が旧来のAEDに戸惑うのではないか、といった声が現場にはある。
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えー、とりあえず、15回ではなく30回。
その他の変更点はこちら。
<気道確保>
(前)頚椎損傷が疑われる場合は下顎挙上法
(現)頚椎損傷が疑われても頭部後屈顎先挙上法
<心臓マッサージの圧迫位置>
(前)剣状突起から2横指上
(現)乳首の高さ
<人工呼吸と心臓マッサージの比>
(前)人工呼吸と心マの比は2:15
(現)人工呼吸と心マの比は2:30
<除細動>
(前)除細動は連続3回まで・200⇒300⇒360J
(現)除細動は1回360J
より一般人向けに、簡略化された感じですね。周囲に人がいた場合、2人で行うことが多いと思いますが、その時に混乱が生じそうですね。「あれ、15回で1回息吹き込むんだろ?」「いやそれ古いから。新しいのは30回。」「マジ!?」
ただしい知識をもって、日常に備えましょう。
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