妊娠時に父のいない子の出生を、法が放任してはならない――。
夫の死後に行った体外受精で産んだ男児(5)の認知を認めなかった4日の最高裁判決は、「亡夫を息子の父親と認めてほしい」という女性の思いに理解を示しながらも、医療行為の名の下に法が想定していない事態が広がっていくことに歯止めをかけた。
「認知が認められなかったのは残念だが、2人の裁判官が法制度の早急な整備の必要性に触れており、国会議員は、判決を真摯に受けとめ、立法に向け尽力してほしい」。原告の男児の代理人を務めた村重慶一弁護士は、判決後にコメントを出した。
今年7月、最高裁で開かれた弁論。女性は男児と共に法廷に立ち、「何の罪もない子から、父親を取り上げるような罰を与えないで」と訴えた。
闘病生活を送っていた夫は亡くなる直前、「僕が死んだ後、再婚しないなら僕の子を産んで、両親の面倒を見てほしい」と言い残し、夫の両親も出産を応援してくれた。しかし、戸籍上の父は空欄のまま。「父のない子にしたくない」との思いで起こした訴訟だった。
だが、死後生殖については、倫理的に認められないとする考え方が根強い。認めた場合、親族が望まない場合や生前同意が明確に確認出来ない場合など、様々なケースが出てくる可能性もある。死後生殖に慎重な姿勢を取ってきた一部医学会は、判決を歓迎。「精子の凍結保存は、本人が生存している期間中」との立場をとる日本産科婦人科学会は、倫理委員会の吉村泰典委員長名で「判決は本会の立場に沿うもので、高く評価する」とコメントした。
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うーむ。
果たして死後生殖は法に追いついていないのか?私は、そういう問題ではないと思います。
というより、父親のいない子がどうのという、その考え方のほうが古いのではないのでしょうか。死んだ人の精子を使って生んだからといって、それが死者の意志に沿うものなのかを確認するのは難しいと思います。例えば100年精子を保存して、それで子供を生んだら父親は100年前の人物なのか?
勿論、死後生殖が普及していくでしょうから、法整備は必要です。ですが、根本の部分である「父親と認めない方針」は変える必要ないのではないか、と。
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