農村で暮らす男性は大都市で働く男性より血圧が高く、塩分を取る量も約4割多いことが、厚生労働省研究班(班長=中川秀昭・金沢医大教授)の調査でわかった。高血圧の改善で運動療法や食事療法を実践している割合も農村の方が低く、脳卒中など循環器系の病気の発症リスク「格差」が浮き彫りになった。
農村は大都市と比べて脳卒中などの発症率が高いと、以前から指摘されていた。研究班は、発症が目立つ前の、60歳未満の働きざかりで健康状態に差があるのではないかと考えた。「農村」として滋賀県郡部の農業男性266人(平均49歳)、「都市」として東京と大阪の大企業に勤める男性社員820人(同47歳)の健診データを基に、血圧などを詳しく比べた。
その結果、平均血圧は「都市」が124―78だったのに対し、「農村」はやや高い128―82。塩分摂取量を反映する1日当たりの塩分排泄(はいせつ)量は、「都市」の8.8グラムに対し、「農村」は12.8グラムで45%多かった。
高血圧や糖尿病で服薬している人の割合には大きな違いはなかったが、改善のために意識して食事療法や運動療法を取り入れている人の割合はいずれも、「農村」は「都市」の半分未満だった。 このほか「地方」の例として、富山県内の大企業勤務者のデータも調べたが、「都市」とほぼ同じ傾向だった。
研究班は、こうした格差について(1)農村ではしょうゆや漬けものなど塩分が多い伝統的な食事が続いている(2)健診で異常がある人への生活指導などが都市(大企業)と比べて不十分――と分析。「農村部の生活習慣を改善する必要がある」と結論づけた。
調査に当たった金沢医大の三浦克之・助教授(公衆衛生学)は「都市でも、健康管理が行き届かない中小企業の従業員では、農村に似た状況の可能性がある」と指摘している。
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労働によって汗を流すから塩気の高いものを欲するようになるのでしょうか。運動しているわけだから運動療法も普及しなさそうですし。
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