2006年09月02日

がん治療に効果があるかもしれないGCS100を20万ドルで売却。

がん治療薬、20万ドルで売却 ?会社倒産で清算へ

 がん治療に効果があるかもしれないと言われる化学成分「GCS100」が、20万ドルで売りに出された。ボストン・グローブによると、GCS100を保有するグリコジェネシス(Glycogenesys)が倒産して清算することになり、売却に出されたものだ。

 GCS100は、これまでにも紆余曲折を経てきた。1999年夏、グリコジェネシス(前社名:セーフサイエンス)の株価は、飛ぶ鳥を落とす勢いにあった。当時「GBC590」と呼ばれていたGCS100が、前途有望と見られていたためだ。会社の資産評価額は、5億ドルにも達した。

 しかし、この成分の権利を誰が持っているのかは、明らかではなかった。当時の最高経営責任者(CEO)、デイビッド・プラット氏は権利を主張していたが、特許申請から9年を経ても、まだ認可が受けられずにいた。同時に、プラット氏が以前に勤務したウェイン州立大学と関係があるデトロイトのがんセンターも、権利があるのではないかと考えていた。

 法的係争に発展した結果、最終的に権利を持つのは会社であるとされ、プラット氏、ウェイン州立大学、そしてデトロイトのがんセンターは、ライセンス権を握ることになった。この過程で、プラット氏は更迭された。

 一時は第1相臨床試験まで行われたGCS100だが、がん治療に対する効果のほどは、今でも不透明だ。そうこうするうちに、グリコジェネシスは回転資金が尽き、事業清算へと至った。

 20万ドルでGCS100を落札しようという人は、すでに現れている。マルボロ・リサーチ&デベロップメントのジョセフ・グリム社長だ。すでに先週、破産裁判所に契約書が提出されたが、グリム氏は、この購入についてコメントを拒否している。裁判所では、数ヵ月以内に売却を承認するかもしれないが、一方で、債権者が反対して他の購入者に渡る可能性もまだ残されている。

 かつて株価高騰を率いた化学成分の成れの果てと言えるのか、まだまだ続く紆余曲折劇の一幕となるのか、今の段階では誰にも分からない。

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 今の製薬業界において、新薬、それもがんの治療薬となると大バクチですからね。もしGCS100で有効な抗がん剤が作れたら、会社は爆発的に成長し、10回ぐらい人生やりなおしても使い切れないほどの利益を得るでしょう。

 しかし、ジェネリックが普及しはじめている今、新薬開発というバクチに「旨み」がなくなりつつあります。新薬のために莫大な金を費やし、得られる利益は減るという現実。各社、次々と新薬開発から撤退していく…

 かと思いきや。ここにきてGCS100を20万ドルで購入しようという猛者が現れた。権利だけで20万ドル。開発に一体何万ドル費やすつもりだ、マルボロ・リサーチ&デベロップメント。だがかっこいいぞマルボロ・リサーチ&デベロップメント。頑張れマルボロ・リサーチ&デベロップメント。

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posted by さじ at 04:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | 薬理
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