米国立がん研究所(NCI)はこのほど、50歳時点で肥満だと早死にのリスクが急激に高まる、という調査結果を発表した。一部の研究者は、この報告を「不確定で人騒がせな情報」と厳しく批判している。
ロサンゼルス・タイムズによると、NCIは50歳から71歳の男女52万7265人に対し、健康状態、食生活、喫煙習慣の有無、現在の身長および体重、50歳時の体重について尋ねた。その結果、標準体重を少し超えているだけでも早死にの確率が20から40%も高まることが判明した。ただし、18万6000人の情報は分析から除外された。喫煙習慣や慢性病、50歳時点での体重について答えなかったため。
医学専門誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン最新号に掲載されたこの報告に、一部の研究者が激しく反論している。ケイス・ウェスタン大学のポール・アーンスバーガー助教授(栄養学)は、肥満を悪いと結論づけるためにデータの一部だけを分析していると指摘し、「手を尽くして都合良く解釈している」と批判する。50歳時点の体重について、多くが本人の記憶だけに頼っている点が信用できないという指摘もある。
厚生省疾病対策センター(CDC)の基準によると、現在、米国人の約3分の1が標準体重を超えており、3分の1は肥満。肥満度指数(BMI)が25から29.9までは標準体重超過、30以上は肥満とみなされる。
従来の調査でも、肥満の場合、がんや糖尿病、心臓病、早死にのリスクが高いという結果が出ている。ただし標準体重を少し上回っているだけという場合、コレステロール値と血圧は高い傾向にあるが、早死にのリスクが高いかどうかは定かでなかった。
国立がん研とCDCによる昨年の調査では、やや体重が多めの方がよいという結果が出ている。しかし今回の調査では、50歳時点で標準体重を上回っていた場合、早死にのリスクは2倍から3倍上昇することが分かった。しかも標準BMIをわずか数ポンド超えただけでも死亡リスクが上昇していた。
男女差も大きく、男性の場合、BMIが25から26.4と「やや超過」なら早死にのリスクは見られなかったが、女性の場合リスクが上昇した。
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確かに標準より少し上回っただけで早死にというのは、もはや早死にの定義を改定しなければいけないほどの事態だと思います。こういう調査は、厳しく行っていただかないと。全ての医療に影響してくることですから。
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