米企業が精神障害に悩む従業員の対策に積極的に取り組み始めた。賃金労働者の精神障害は利益追求が目的の企業においては不適切なものとされてきた。しかし、最近はカウンセラー制度を採用するなど従業員の精神衛生に積極的に取り組む傾向が産業界で目立ち始めた。
ゼネラル・モーターズ(GM)は精神科医師と無制限に無料で電話相談できる制度を取り入れた。精神障害に悩む部下がいる部署の責任者を支援する制度も採用している。
電話相談や医療機関の紹介などの制度を取り入れている企業は2001年の68%から06年には71%に増えた。7割の企業が医療保険の対象としており、18%が再起支援制度を設けている。
その背景には従業員が精神障害に悩まされると、企業の生産性が落ちるばかりか治療費負担が重くなり、場合によっては配置転換など適切な対応をしなかったとして訴えられるからだ。
全米精神衛生協会によると生産性の低下で米国産業界が受ける損失は年間1050億ドル(約12兆750億円)。企業が負担する治療費は440億ドルに上るという。
これに加え1997年に規定された政府のガイドラインによって企業の対応の不適切を理由に損害賠償訴訟を起こされる可能性もある。雇用機会均等委員会によると、2004年にこの問題で合意した和解額は46万9000ドル。鬱病を理由に差別を受けたとして企業が訴えられた件数は889件。これが05年には1005件に増え、和解額も300万ドルに増加している。
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なるほど。背景にあるのは「訴訟大国」ならではの予防策か。確かに精神障害者が総出で企業を訴えた場合の訴訟額は、莫大なものになりそうです。
アメリカでは精神疾患に対する認知度が高まっていますが、果たしてその認知度はポジティブな意味を持つのか。もしかしたらただ単に軋轢が生まれているだけではないのでしょうか。訴訟という観点を中心にした社会になってしまうと、どうしても「自己中心的」な社会になってしまうと思います。
結局、自分のこれからの行い次第で、自身を取り巻く環境も変わってくるということです。訴訟を起こすのが有益なのかどうか、考えてみる必要があると思いますよ、従業員側にも。
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