東京大学の300人をはじめ、各地の国立大学病院などが来春採用の看護師を大募集している。医療制度改革に合わせ、臓器移植など高度医療を支えるスタッフの充実を図る狙い。だが引く手あまたの看護師集めは容易ではなく、教授陣も看護学校を行脚するなど、人材確保に汗を流している。
東大医学部付属病院(永井良三病院長)は2007年度に06年度の2・5倍に上る300人を募集する。年に100人程度生じる欠員補充だけなら、従来は看護部が関東で集めてきた。だが、今回は病院一丸となって全国から人材を募る必要がある。
このため9月に東京以外の札幌、仙台、新潟、大阪、福岡で初めて新規採用者の選考会を開催。教授ら医師もパンフレット持参で、看護系大学や看護学校を訪問中だ。
募集の先頭に立つ永井病院長は「日本は欧米はおろかシンガポールなどアジア諸国より、患者1人当たりの医師や看護師数が不足している。これでは高度医療が十分にできない」と話す。
増員で同病院の看護師は1000人を超し、夜勤体制を1病棟当たり3人から4人に強化できる。看護師は患者に目が届きやすくなり、医師も看護師の代わりを務めるような作業を減らせる。
官業時代の国立大は定員増が難しく、看護師の配置は私立大より手薄だった。だが国立大学法人化で経営の裁量が拡大。医療制度改革に伴い、06年度から手厚く看護師を配置した医療機関の診療報酬(入院基本料)が値上げされ、増員のコストを賄えるめども付いた。
このため東大のほか、北海道大(210人)東京医科歯科大(本年度の追加募集を含め190人)など、看護師の大量募集が相次いでいる。
東大病院は「現役の引き抜きなどで地方の病院に迷惑を掛けないよう、新卒者中心に08年度も募集を検討する」という。
◆基幹病院も増員を
小川忍日本看護協会常任理事の話・・・看護師の増員は労働条件改善のチャンスでもあり歓迎したい。日本はベッド数が多く、患者1人当たりの看護師数が少ない。例えば40床の病棟で看護師が3人なら、患者さんの容体が急変すれば2人は手を取られる。残り1人で40人近い患者さんを看護するのは、仕事がきついだけでなく安全面で問題がある。大学病院にとどまらず(症状が不安定ですぐに治療が必要な)急性期医療を担う地域の基幹病院でも、きちんと人員を確保してほしい。
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
医療従事者のハードワークっぷりは何故か今まで見過ごされてきました。少しずつ、変わっていければ、医療ミスもおこりにくくなると思います。
医療ミスっていうのは結局「ミス」なわけで、ミスを起こさないためには医療従事者の負担を軽減する必要があります。それを実行するためには当然お金が必要なんですが、厚生労働省は医療費高騰を理由に、病院に入る収入を削減する方向にもっていきました。なんだこの矛盾は。
しかも医療従事者がマスメディアで広告できないのを良いことに、厚生労働省は「ミスするのは医療従事者の能力のせいだ」とバッシング。見事に国民も騙され、医師、看護師が悪者となる時代が続きました。
しかし現状は、厚生労働省の医療費設定がおかしいからミスが起こるのであり、諸悪の根源はそこにあるとしかいいようがありません。本当ならば国立大学だけでなく民間の病院も人手を増やしたいハズですが、赤字が更に嵩む結果となるので「できない」だけです。
一刻も早く、「正しい医療」のあり方を実施してください。
関連:
心停止のアラームに誰も気づかず死亡
何で厚生労働省は医療費を誤魔化そうとしているの?
自民党「激務が問題となっている分野以外診療報酬引き下げ」
循環器内科医のDr. Iと申します。
おっしゃる通りだと思います。
ミスは絶対になくならないんですが。
ミスを減らすためには、人でが必要。
人を雇う為には、お金が必要なんですけどね。
厚生労働省も意地にならず、医師会と仲直りをしてほしいものです。
対立に巻き込まれているのは、患者の命なのですからね。
しかし理路整然と、良くまとまっているブログですね。とても面白く読ませていただきました。これからも是非宜しくお願いします。