来年3月末に撤退する日大医学部付属練馬光が丘病院を巡って、誘致した練馬区と同病院を運営する日本大学(本部・千代田区)との間で、不信感が広がっている。区は16日にも後継の医療機関を公表する予定で、土地建物の無償貸与や、開院にあたっての工事費負担などを好条件を提示して選定作業を進めているが、現段階で応募しているのは2団体だけ。地元住民からは「撤退する日大並みの医療水準が確保できるのか」と不安の声も上がっている。
「撤退理由が分からない」。区がそう不快感を表明するのは、区側への説明が不十分と感じているからだ。
区によると、日大側が区に撤退を初めて持ち込んだのは昨年2月。「弁護士同席で『赤字なので来年3月で撤退する』と言われ、非常に驚いた」。区地域医療課の新山博己課長はそう振り返る。
同病院の土地と建物は区が所有しており、賃貸契約は30年。開業は1991年で、「契約通り30年間は運営すべきだ」とする区側に対し、日大側は「民法上の契約期間は20年で終了した」と通告したという。
日大側は09年9月、病院経営が悪化しているとして、区に支援を要請。区は09、10年度の建物賃料、計1億3200万円の免除などを決定しており、新山課長は「年4〜5億円の赤字と言うが、昨年度は1億円に圧縮された。今年度は黒字化が見込まれている」と語る。
日大側は、区が行った病院への支援格差に不満を表明した過去がある。
同病院は91年、医師会立病院が経営悪化で撤退後に設立。区は日大側に対し、当初5年間の賃料免除のほか、工事費用33億円を支出する支援を行っている。
しかし、慢性的に区内の病床数が不足している練馬区では、同病院の開業後も事態が改善しなかった。都が設定する、区西北部保健医療圏(練馬、豊島、板橋、北区)の病床数は人口10万人あたり789床だが、練馬区内はその約3分の1で、23区内では最低水準。
このため、区では新病院の誘致を決定、05年に同区高野台に順天堂大医学部付属練馬病院が開院した。この時に区が病院建設資金など行った補助は計約70億円に上った。日大側が09年に、区に経営支援を依頼した際、「近年開設された区内の他大学病院の取り扱いとは大きな差がある」と指摘し、不公平感をにじませた。
7月15日の撤退公表を受け、区は8月に急きょ、後継運営主体の公募に踏み切った。公募条件は「日大と同水準の医療提供」で、日大病院が撤退した後の土地、建物の無償貸与や、開院のための刷新工事費用の区負担なども盛り込んだ。
8月5日に行われた説明会には15団体が参加したが、応募したのは4団体。その後、「医療スタッフを確保できない」として2団体が応募を取り下げ、残るのは、都内の公益社団法人と、医療法人の2団体だけだ。
医療関係者は、区側の公募条件について、「必ずしも好条件とはいえない」と指摘する。ネックとなるのが、「日大並み」の規模を求めている点で、関係者は「応募したのが2団体しかなくても、『引き受けたい』という病院があるだけでもありがたいのでは」と指摘している。
日大医学部付属練馬光が丘病院について、7月15日に日大や区が行った撤退の公表が唐突だったとして、地元住民などの間では反対の声が高まっている。
同病院の撤退を巡っては、地元住民のほか区医師会などから反対の声が上がり、同病院関係者や日大医学部の関係者も加わり、「病院の存続を求める区民の会」を結成。撤退に反対する約1万5000人の署名を集め、区長に提出した。
同会事務局長の神津真久さんは「区長と理事長の話し合いさえされていない。区は撤退の意思を変えようと、本当に努力したのか」と語る。また、駿河台日大病院の小児科医局長を務める斎藤宏さんは、「撤退で地域の医療水準が下がってしまう」と懸念する。
日大広報課は「撤退の方針に変更はない」としている。
うーむ、これは日本の抱える問題を今まで無視してきた結果だと思う…。
そもそもこれだけ必要とされていて、かつ、多くの患者をひっきりなしに対応している病院が、何故赤字なのか。色々免除された上で、年4、5億の赤字。これじゃヤバいと思って努力を重ねても年1億の赤字。
それってつまり、医療費が安すぎるんじゃないの?
赤字が日大の落ち度だったとは思えないんですよねぇ。一番解せないのは、練馬区側が住民に伝えたのが、撤退直前になってからというところ。そういう意味で住民は被害者だと思います。
あのー、まぁ細かいところは、日大が悪いとか練馬区が悪いとか、色々あるでしょうけれど、今後こういうことのないようにするには、やっぱり医療費を増やさなきゃいけないと思うんですよね。正当な報酬を病院に与えるべきというか。
そのためにどうすりゃいいかっていうと、増税はやむをえないかと。開業医へのメリットではなく、こういう総合病院を経営することのメリットとして。
細かいことは、情報が少なすぎて何ともいえませんけれど、ここのコメントのところが結構面白かった。