2011年09月18日

名古屋大学病院の3年目救急部医師、腹膜炎を便秘と誤診し死亡。

腹膜炎を便秘と診断後に死亡…病院が遺族に謝罪

 名古屋大学医学部付属病院(名古屋市昭和区)は8日、2009年2月に救急外来を受診した名古屋市の70歳代女性の腹膜炎を発見できずに帰宅させ、翌日に死亡する医療事故があったと発表した。

 同病院によると、女性は同月10日、腹痛や吐き気を訴えて来院。医師になって3年目の40歳代の男性研修医がレントゲン撮影などをしたうえで「習慣性の便秘」と診断し、薬を処方して帰宅させたが、女性は翌11日朝に自宅で意識を失い、別の病院で死亡した

 女性は来院した時点ですでに大腸に直径1・5センチ程度の穴があいていた疑いが強く、レントゲンにも腹腔内に空気が漏れ出ている様子が写っていた

 外部識者らによる事故調査委員会は「研修医の知識・技量では発見できなかったのはやむを得ない」とする一方、「経験豊富な医師なら異常に気付いた可能性が高い」と指摘。国の指針を基にした当時の救急外来部門の取り決めでは、研修医でも3年目からは一人で診療を行い、患者の帰宅の可否を判断できることになっていたため、「救急専門医らが研修医の経験不足を補ったり、指導したりする体制を強化すべき」などと提言した。

 名大病院は体制の不備を認めて遺族に謝罪し、今年8月に示談が成立。救急部門の指導医や専従医師を事故当時の3倍の計21人に増やすなどして再発防止を図っているという。女性の長女は8日、弁護士を通じ、「同じことが起きないように委員会の提言を守ってほしい」とコメントした。



 研修医って、えぇー。これは、どうなのか。

 3年目を研修医と表記するのは、一般の人に誤解を与えるような気がします。医師2年目までは「初期臨床研修医」で、これが普通の研修医にあたります。3年目ということは救急部の後期研修医ということでしょうか。(初期研修を終了できず3年目に突入した可能性もなくはないですが)

 まぁ確かに、3年目ならば、レントゲンで見落としても不思議ではない。ですがfree air(要するにお腹の中に空気が漏れたことを示すレントゲン所見)は比較的簡単にみつかりますし、そもそもレントゲンで帰宅させるなら専門医の確認が必要だったのではないでしょうか。それを大学病院の研修でしていなかったというのが疑問。

 高齢者なら症状があまりなかったのかもしれませんが、腹痛に加えて吐き気を訴えているのなら、CTをとっても良かったのでは。

 さる高名な救急医は「救急において、腹部レントゲンは意味がない」と言われています。まぁ、こういう事例をみれば納得ですよね。お腹が痛い=便秘と安易に診断するのは何の意味もない。命を助けるという、救命を主体とする場所において、念のためCTを撮るのは何ら不思議なことではない、と思います。


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posted by さじ at 05:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | 救急
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