先天性異常により変形した鼻に、培養した患者自身の軟骨細胞を組み込んだ材料を移植し、整った形の組織を作る世界初の臨床研究を開始したと、東京大病院が9日、発表した。数年後には広く使われるよう目指す。
高戸毅教授と星和人特任准教授によると、対象は生まれつき唇の一部や上あごが裂け、鼻の変形を伴うことが多い口唇口蓋裂の患者。日本では赤ちゃんの400〜500人に1人いる。
今回の研究では、傷痕が目立たない耳の後ろから5ミリ四方程度の軟骨を採取し、約4週間培養して増やす。これをポリ乳酸などでできた長さ5センチ前後の軟らかく細長い材料に入れ「再生軟骨」を作り、手術で鼻筋に挿入すると、入れた細胞により軟骨の組織が作られる。材料は5年以上かけて徐々に吸収され、なくなっていくという。
既に成人患者1人に手術。大きな合併症もなく経過は順調という。計3人を治療し、治験や薬事承認の申請に進みたい考えだ。
従来は軟骨そのものを移植する方法があったが、採取できる量が少なく微修正しかできなかった。骨を使う方法では、衝撃で折れることがあり、運動が制限されるなど不便だった。
軟骨の再生は以前より行われていました。自身の軟骨細胞を移植して元通りにしてしまうという素晴らしい手術。
唇や、口の中の口蓋生まれつき欠損しているというのは、結構多いですね、赤ん坊で。もともと胎児の段階で分かれているものが、本来ならくっつくのですが、それがくっつかなかった、と。
見た目の問題なので、うまーく形成してあげることが必要です。この術式は、命を救うのではなく、人生を救うのです。東大!東大!