慶応大の研究チームがiPS細胞(人工多能性幹細胞)技術を使い、アルツハイマー病が発症する仕組みの確認に成功した。生きたヒトの細胞による薬の効果の確認につながり、新薬開発に役立ちそうだ。論文が7日付英医学誌ヒューマン・モレキュラー・ジェネティクス(電子版)に掲載された。
アルツハイマー病は、ベータアミロイドという毒性の高いたんぱく質が脳にたまり、神経細胞を傷つけて起きるとする「アミロイド仮説」が提唱されている。チームは、遺伝性アルツハイマー病の患者2人の皮膚の細胞からiPS細胞を作って、さらに神経細胞に変化させた。すると、いずれの患者由来の神経細胞でもベータアミロイドが通常の約2倍作られており、病気の一部を再現できた。
またベータアミロイドができるのに必要な酵素の働きを止める新薬の候補を使ったところ、ベータアミロイドのできる量が抑えられるのも確認した。
アルツハイマー病は新薬により症状を緩和することができたりと、何かとトピックですが、それもこれも、脳にベータアミロイド蛋白が蓄積するという事実がわかってのことでしょう。何故そうなるか、を解明したこの研究。さすがiPS細胞に強い慶應大学です。