生活習慣病予防の観点などから、西洋医学を補完するものとして関心が高まる「代替医療」。その1つとして近年、「はり治療」が注目され、大学病院が臨床研究に乗り出すなどの動きが出ている。腰のはり治療で、血糖値や血圧の改善効果を導いてきたベテランはり師を訪ね、代替医療としての「はり」について聞いた。
東京・六本木の川井針灸院。小泉純一郎首相の治療も手がけるというキャリア41年の川井健●(けんどう)院長は、その経験から、腰にある「仙腸関節」を集中的に治療すると、血糖値や血圧に改善効果がみられることに気づいたという。
仙腸関節の治療は元来、慢性の腰痛やぎっくり腰で行われてきた。腰の不調を訴える人は仙腸関節が固まり、滑らかに動かなくなっているからだ。そして治療を重ねるうちに、「多くの患者さんから、(治療後)『血圧が正常になった』『血糖値が下がった』という声が寄せられるようになった」と話す。
例えば、ある男性糖尿病患者(44)の場合、今年4月16日時点で211ミリグラム/デシリットルあった血糖値が、わずか1カ月後の5月12日には、正常値に近い132ミリグラム/デシリットルまで下がったという。この間、薬などは服用せず、週1回、はり治療を受けただけだった。
仙腸関節からは副交感神経が出ており、ここを治療して関節の動きが正常になれば、副交感神経が刺激され、交感神経より、その働きが優位になるという。
副交感神経とは、血管を拡張したり脈拍を抑えたりと、リラックス時に働く自律神経。一方、交感神経は、血管を収縮したり、脈拍を上げたりといった、いわば“戦闘”時に働く自律神経だ。つまり、仙腸関節の治療により、リラックス効果が期待できるというわけだ。
この川井さんの説について、金沢大学大学院の鈴木信孝教授(補完代替医療学)は、「たくさんの実例を集めなければ医学的証明にはならないが」と前置きしたうえで、「交感神経には血糖値や血圧を高める働きがあるので、副交感神経を優位にすれば、血糖値を下げたりすることは十分考えられる」と語った。
糖尿病患者は今や約740万人、高血圧性疾患患者も約700万人いるとされる。「はりは西洋医学の代替医療として大きな力を発揮する」と自信をみせる川井さん。そして、“副交感神経優位理論”をもとに、生活習慣病を予防したい人には「日ごろから、できれば温かいものを口にすることを心がけてほしい」と話す。
「『冷え』は仙腸関節が固くなる原因。『生野菜は温野菜にする』『水はお湯にして飲む』などを心がけたりすれば、仙腸関節はゆるみます」とアドバイスしている。
≪はり治療 大学病院も関心 臨床研究へ≫
代替医療は、対症療法中心の西洋医学を補完する予防的要素が強い医療で、はりをはじめ、サプリメントや食事療法、健康食品など多種多様だ。「補完医療」と呼ばれたり、西洋医学とあわせ、「統合医療」と称されたりする。予防が重視される生活習慣病への関心が高まっていることなどから、注目が集まっている。
大阪大学大学院医学系研究科の伊藤寿記教授(消化器外科)によると、はりに関しては、科学的解明が進んできたことによって関心が高まっているという。7月には同大学病院に週2回の「補完医療外来」がオープンした。狙いの1つは、がんや生活習慣病の治療にはりを補助的に使い、どれほど効果を上げられるかを研究することだ。伊藤教授によると、「はりは抗がん剤の副作用の吐き気や糖尿病の知覚鈍磨を抑えるといわれている。それを医学的に証明し、治療の補完に生かしたい」という。
はり師を目指す人も増えている。国家資格試験を通らなければならないが、専門学校は平成10年の37から今年4月には98に、4年制大学は1から5に増えた。ある大学関係者は「高齢者向け施設でもはりが取り入れられるなど、ニーズが高まっていることから、若い人は将来性を感じているのではないか」と話している。
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自律神経を刺激して効果を得ようとするならば、鍼も医学的に説明がつきますね。下記の関連ニュースのように、根拠もないまま続けてしまうと、あらぬ誤解を招きかねません。代替医療が注目され始めている中、西洋医学と東洋医学がうまく溶け合えばいいなと思っております。
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