暑い日に冷えたスイカにかぶりつくのは最高だが、スイカは常温(室温)で保存する方が高い栄養価が期待できるという研究結果が「Journal of Agriculture and Food Chemistry」8月9日号に掲載された。保存温度により、特定の抗酸化物質の含有量に差が生じることが明らかになったという。
米農務省(USDA)サウスセントラル農業研究所(オクラホマ州)のPenelope Perkins-Veazie氏によると、スイカの果肉の赤い色は、トマトと同じカロチノイド色素リコピンによるもの。また、量は少ないものの、β(ベータ)カロチンが含まれるのもスイカの特徴だという。このような抗酸化物質には、細胞を傷つけ癌の原因となるフリーラジカルを無害化するはたらきがある。
収穫時や出荷時の光、温度、湿度によってスイカのリコピン含有量が10〜20%変化することはこれまでにも知られていたが、今回の研究はキッチンでの保存による影響に着目。種あり、種なしを含む3品種のスイカ(すべて「完熟」とされていたもの)を、切らずに20℃で一晩保存した後、カットして色、状態およびカロチノイド含有量をみるための標本を採取。3品種それぞれ20点の標本を作成し重量を測定した上で、5.0℃、12.7℃、21.1℃にセットしたクーラーに保存した。
2週間後、常温で保存したスイカは、カロチノイド含有量が品種により11〜40%増大した。目視による観察では、常温に置いたスイカはいずれの品種も果肉の色が濃く、皮が薄くなっており、成熟が続いていることがうかがわれた。低温で保存したスイカにはカロチノイドの増大はみられず、果肉の色は変わらないか薄くなっており、皮の厚さにも変化はみられなかった。研究グループは、低温では酵素の活性が低下するために果実の成熟が止まるのではないかと推測している。
切ったスイカを常温に置くのは安全性の面で勧められないが、切っていないものなら1〜2日常温に置いても問題はなく、冷たい方がよければ食べる少し前に冷蔵庫に入れればよいという。モモやバナナのように、室温に置く方が栄養面でも味の面でもよい果物もある。一方、今回の研究では、他の栄養素について考慮されていない点も指摘されている。スイカに含まれる水溶性の栄養素には光や空気に弱いものもあり、この面の影響についても関心がもたれている。
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リコピンやβカロチンなどを増やしたいなら、常温で放置、食べる前に冷蔵庫に入れて冷やす、というのがベストか。こうみると、スイカもヤサイなんですなぁ。