一度出来上がった脳神経の回路を維持・管理する仕組みを、国立遺伝学研究所の榎本和生・助教授らの国際研究チームが、ショウジョウバエを使った実験で突き止めた。
ダウン症候群などについて、脳神経の障害が起きるメカニズムの解明につながる成果。英科学誌ネイチャー電子版に発表した。
脳の神経細胞間の配線は成長の過程で一度作られると大きくは変化しないが、ダウン症候群などでは、配線を作っている神経細胞の突起が委縮したり、消失したりすることで、神経症状が起きると考えられている。しかし、その発症メカニズムはほとんどわかっていなかった。
榎本助教授らは、細胞の増殖を抑える「ワルツ」と「ヒポ」という2つのたんぱく質(リン酸化酵素)が脳神経細胞でたくさんできていることに着目。
ショウジョウバエの幼虫の遺伝子を操作して、このたんぱく質のいずれかを作ることができないようにすると、神経細胞の配線が一度出来た後、細胞の突起が60%減ることがわかった。
榎本助教授は「同様の遺伝子操作をすると、マウスでも、脳障害が起きたり、寿命が短くなったりした。人でもこのたんぱく質があり、ダウン症候群などとの関連を明らかにしたい」と話している。
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
遺伝子の異常ということは知られていますが、もっと根本的な、何故ダウン症という症状が起こるのかを追求した今回の研究。ワルツとヒポという細胞の増殖を抑える蛋白質の働きによるものだとしたら、遺伝子をどうのこうのしなくても、治療できるかもしれない…?
関連:医学処 後頚部浮腫像検査はあくまで参考程度に。