2006年08月17日

麻酔による痛み、吐き気などは手術を行う時間帯によって異なる

手術の時間帯が麻酔による有害事象の発生に関与

 午後に開始した手術では、午前の場合に比べ、麻酔に関わる痛みなどの有害事象(イベント)が発生しやすいことが米デューク大学の研究によって判明した。理由は明確にされていないが、医師の疲労から患者の概日リズム(約24時間周期)まで、さまざまな原因が考えられるという。この研究は、医学誌「Quality & Safety in Health Care」8月号に掲載された。

 著者らは、手術が行われる時間帯が有害事象の発生件数に影響しているのではないかとの仮説に基づき、デューク病院で2000〜2004年に実施された9万件の外科手術について分析し、有害事象の重篤度により分類、手術の時間帯とのクロス-リファレンス(相互参照)を行った。発生件数は午後3〜4時の間が最も多かった。発生率が最も低かったのは午前9時(1%)で、最も高かったのは午後4時(4.2%)であった。

 多くみられたのは、疼痛管理および術後の吐き気や嘔吐の問題。午後の遅い時間になると、医師の遅刻や、手術室の準備が終わらないといった「管理上の遅れ」も多くなり、これが有害事象をもたらしている可能性もあるという。デューク大学医療センター麻酔科助教授Melanie Wright氏は「午後は患者の痛みに対する感受性が強くなることも考えられる」と述べている。また、午後には概日リズムが低下し、そこへ麻酔スタッフの疲労する時間帯が重なっている点も指摘されている。

 生体内の周期的現象を取り扱う「時間生物学」と呼ばれる新しい概念も原因として挙げられる。米マイアミ大学患者安全センター長David Birnbach氏は「1日の時間帯によって薬剤への反応が異なる可能性もある」と述べている。概日リズム、コーヒーを飲んだ時間、外来患者数、忙しい時間帯といった条件が薬剤に及ぼす影響が注目されているという。

 このほか、取扱い件数が多いことに伴う医師の疲労とコミュニケーション不足の問題が複合している可能性や、午後は仕事が増えるために集中力が低下することも指摘されている。しかし、「あまり一般化して考えない方がよい。午後に手術をするべきではないとは言い切れない」とBirnbach氏は述べている。

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 集中力の面だけで見ても、午後3時より午前9時のほうが高いのは明らかですからなぁ。少し細かすぎる気もしますが、この研究が進めば患者の手術の質が向上しそうです。因果関係づかみに期待。
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posted by さじ at 02:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 生理
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