ピーナツの渋皮に脳の神経細胞を活性化する効果があることを、岐阜薬科大(岐阜市)などの研究グループが突き止めた。ポリフェノールが多く含まれており、グループは渋皮を精製した粉末も開発。健康食品などに応用することで、認知機能が低下するアルツハイマー病の予防などが期待できるという。
開発したのは、岐阜薬科大の古川昭栄教授(神経科学)と特殊高機能性化学品メーカー「岐阜セラツク製造所」(岐阜市)の研究グループ。
脳の働きを維持するのに欠かせないたんぱく質である神経栄養因子の機能が、老化やストレスなどによって低下し、記憶力や学習能力の衰えにつながることに着目。2008年から、神経栄養因子の機能を補う方法を探ってきた。
アルツハイマー病は、脳にアミノイドベータ(Aβ)たんぱく質が蓄積され、神経細胞の機能低下を引き起こすことが原因とされる。ふだんの食生活が、発症リスクの軽減や症状の進行抑制に影響する可能性があるため、野菜や果物などのほか、伝承薬として用いられてきた薬草の成分などを調査した。培養神経細胞を使った実験で、神経栄養因子と同じような働きをする物質を探した。
その結果、中国で「長生果」と呼ばれ、不老長寿の豆とされるピーナツの渋皮に、神経栄養因子と同じような作用があることを発見した。
グループは、老人斑の構成物質であるAβたんぱく質を脳に投与し、アルツハイマー病の疑似症状をつくったマウスに、渋皮から抽出したポリフェノール成分を食べさせた。迷路などを使って少し前の記憶や前日の記憶の有無を調べたところ、Aβたんぱく質による記憶障害を改善する作用がみられたという。
グループは、脳神経細胞内にポリフェノールが結びつく何らかのたんぱく質があり、神経栄養因子の活性化に関与していると推定している。しかし、活性化の詳細なメカニズムは今のところ不明で、今後、解明していくという。うつ病などの高次脳機能障害にも応用できるとみている。
古川教授は「ピーナツ渋皮の抽出物は機能低下した神経栄養因子に代わる機能を持つと思う。これまで渋皮は廃棄物として捨てられてきたが、資源の活用にもつながる」と話す。今後、食品メーカーなどと協力し、この粉末を使った健康食品の開発を目指す。
脳に蓄積するβアミロイドをどうこうできれば、確かにアルツハイマー病予防になるかも。脳の神経細胞に直接作用するのなら、うつ病などにも応用できそうですねぇ。