日本からマニラまで約4時間ほど、そこから更に1時間ほどかけて、セブ島へ降り立った。
雨期とはいえそこまで湿度が高いわけでもなく、少なくとも日本よりは過ごしやすいと感じた。
日本円からペソ(1ペソ約2円)に交換。当然1000ペソ札ばかり貰うことになる。まず空港を出て、タクシーへ乗ることになった。タクシー乗り場で受付の人に声をかけ、ホテルの名を告げると「350ペソだ」と言う。片道20分ほどの場所なので日本では安いが、セブプライスとしては高めだ。しかし降り立って間もない我々には「妥当な値段だろう」と思う他なく、大人しく乗ることにする。タクシーのところまで荷物を運ぶと、若者がひょいと荷物をトランクに入れ「チップ」を要求してきた。チップ文化を否定する気はないが怠け者に金を与えるとその国は発展しないと思っているので、聞こえなかったふりをした。
セブ島はリゾート地として認識されているが、中で暮らしている人の生活は必ずしも裕福とはいえない。舗装されていない道路、廃墟のような建物、駄菓子屋のような外観の店が立ち並ぶ。治安は良くはないらしく、夜出歩くのは危険だという。確かに、と思わざるをえなかった。昼間でも遠慮したいほどだ。
しかしうってかわって、ホテル周辺は日本ではお目にかかれないような豪華絢爛な作りになっている。日本のシティーホテルより少し出せば、相当豪華なホテルに泊まれると思って良い。今回泊まったところは部屋もかなり広いだけでなく、サービスも徹底していた。ホテルのロビーだけでも24時間営業で食べ物・飲み物の提供をしてくれたし、深夜まで続く、美しい歌声による生演奏が心地よかった。
写真:ホテルのロビー
ホテル併設のプールでひと泳ぎし、プール内のバーでまず一杯。値段は日本と変わらず、つまりこの国では高いということ。まぁ贅沢しにきているのだからそこでどうこういってもしょうがない。日本のホテルだって高いわけだし。
食事はロブスターのクリームソース煮を食べた。多分今回の旅行で一番美味しい「料理」はこれだったかもしれない。
1日目は特に何をするでもなく終了。
写真:早朝から勉強を開始する友人。いつみても頭が下がる。
2日目はアイランドホッピングを楽しんだ。アイランドホッピングとは、要するに小さな島の周辺でいろいろなことをしようじゃないかという企画で、半日でシュノーケリングやランチ、フィッシングを楽しむというもの。
15分ほどかけてボートで島の近くへ行き、水深2メートルほどのところでシュノーケリングをした。救命胴衣をつけると潜れなくなるのでお断りし、素潜りを開始した。海は奇麗なグリーンで、視界良好、多くの魚たちを間近でみることができた。
「私案内します、よろしく御願いします。」
と日本語で言うフィリピン人と一緒にポイントを移動していく。道中、「サザエやウニは好きですか」と聞いてくるので、好きだと答えると、素潜りで貝をみつけ、石で割って食べるよう薦めてくる。なんかこういう人って心底信用できないんだよなぁという気がよぎるも、以前サイパンで疑いまくっていたら完全に善意ゆえの行為であり少しばかり後悔したことを思い出し、今回は最初から少し信用することにした。
しかし案内の最中に「私本職はお土産屋。終わったら見て下さい。約束ですよ」と言い始める。嫌な予感しかしてこないので適当にあしらう。
それでも最高の海と、シュノーケリングの楽しさを満喫し、来て良かったと心底思った。
船に戻るとヤシの実を割ってジュースにして用意してくれていた。ありがたい。そしておいしい。そこで先ほどのフィリピン人登場。貝で作ったコースターやろうそく立てのようなものを見せてくる。
「いくら?」と聞くと、コースター6枚で3000ペソ(6000円)という。
「いや、そんなにいらないから。1枚いくら?」と聞くと、1枚だと1500ペソ(3000円)という。だから6枚で買ったほうがお買い得だと。
もう交渉の余地もなく、「マハール」である。(マハールとはフィリピンの言葉で高い、という意味)
大きめの貝にイルカ等を彫ったものはまぁまぁ土産としては悪くないにしても、1個3000ペソ(6000円)という。
高いからいらない、というと、「さっき約束したではないか」と言ってくる。
それでもいらない、というと、「それではさっき食べた貝やウニの値段。1人1500ペソだ」という。
船に妙な空気が流れる。
ああ、こうやって温厚な日本人のおじさんおばさんをだましてきたのか、と思うと、非常に腹が立った。
だまされるほうが悪いといっても、それは値段をふっかけてきたときの話で、高いからいらないと言うと脅迫まがいのことを言ってくるのは詐欺行為に他ならない。
断固としていらないと意固地になる私をよそに、同行していたフィリピン在中の日本人女性が「あなたにチップとして1000ペソを与えるつもりですけど、それでまるくおさめませんか」ということを言ってくれて、ようやくその場がおさまった。チップ1000ペソで複数人の案内料なら安いほうだし、まぁ妥当なところだろうと思う。そんなことより自分の交渉能力の無さを恥じたし、女性に対して感謝と尊敬の念を抱かずにいられなかった。
ちなみに先ほどのヤシの実ジュースも、サービスではなく当然1人あたり150ペソだった。まぁこれはホテルに比べれば破格の値段なので甘んじたが。サイパンにいったときは地元民がサービスしてくれて嬉しかったもんだがなぁ。
写真:ヤシのジュース
フィリピン人は基本的に温厚なので、例えば断ったからといって殴りかかってくるということはない。値段の交渉も、本当であればこちらがいくらで買いたいかを提示して、相手がそれより高い値段を言い、というのを繰り返すものだろう。今回は私が最初から高い、としか言っていなかったので、相手も自分で値段を下げるわけにもいかず、落としどころが分からなくなっていたのだろう。しかしセブ島に来て一番腹が立ったのがコイツであることには変わらない。フィリピンに行く方、十分に注意されたし。もしふっかけられたら、ごめんね、いらないよ、と日本語でも伝えれば問題は無い。
その後のアイランドホッピングは特に不愉快なことも起こらなかった。船のスタッフはみんな優しく温厚であったからだ。途中、奇麗な海のポイントがあり、10分だけでいいから止めて泳がせてくれ、と頼む。水深3メートルほどの奇麗な海なのに魚がほとんどいなかった。10分後満足して船に戻ると、船のスタッフが「この辺はサメが出るよ」と言う。
先に言え。
大満足のアイランドホッピングの後は、人生初のカジノへ。ブラックジャック台がなかったし、バカラをやるほどの軍資金があるわけでもないので、大人しくスロットをプレイ。煙草やお菓子を売っているお姉さんが隣に座りずっとアドバイスしてくる。が、ジャックポットを引く事なく3時間ほどで終了。5000ペソぐらいスりました。
写真:ホテルからの夜景
次の日は朝からダイビング。ライセンスを持ってない私は体験ダイビングなるものに。
ダイビングにハマる人の気持ちが分かった。こりゃぁ奇麗だわ。間近で魚を見る機会というのはそうそうあるもんではない。水族館と違った自然を感じることができる。
その後、耳の中に水が入ったような感じがとれなくてつらい思いをした。ダイビングをやっている人に耳管狭窄症が多いという理由も何となく分かった。それでも、またやりたいなぁこれは。
パシフィックセブダイバーズ 体験ダイビングの右から3番目が私
ホテルの食事ばっかりで飽き飽きしていたというのもあるが、基本的に「現地飯」を食べてこそ、と思っているので、昼は現地飯を食べに行った。怖かったけれども。
タクシーではなく地元で愛されている乗り物であるバタバタ(オートバイにサイドカーのようなものがついており、5人乗れるらしい)で移動。結構走っても3人で110ペソ。安い。まぁ安くなけりゃ地元の人は乗れないのだろうけれども。
写真:バタバタに乗って
ついた先は、なるほどこれは現地飯だと思わせるようなフィリピン料理の店。よく映画とかに出てくるようなアジアの軒先の店と同じである。鳥か豚か魚があるよということで鳥と豚をそれぞれ選択。あとライスとコーラ。鳥や豚はぶつ切りになっていて、辛く煮たようなもの。
しかしこれが抜群にうまい。ご飯が進む進む。ご飯の固さもちょうどよくて、おかわりもした。たらふく食べて、コーラを飲んでも1人あたり60ペソ(120円)という安さ。泊まったホテルのバイキングが2000ペソとか、入ったレストランが比較的高級仕様で1人あたり1500ペソとかしたけれど、この現地飯のほうが忘れられないね。
写真:店で飼ってた犬。基本的にセブの犬は放し飼いです。
バタバタの運転手も言ってたが、日本人とか韓国人とかが、リゾートつくって高いお金でご飯や飲み物を提供している。それはまぁいいんだけど、それ以上に、セブの周辺の街を「治安が悪い」と言って観光客を寄せ付けないのは果たして地元のためになっているのかどうか。基本的にフィリピン人は温厚。店の人、お手伝いしているその人の子供であろう少女のはにかんだ笑顔。この日の昼飯は、なんか考えさせられた。
現地飯を食べれたことだし、せっかくだから明るいうちに、と、宿泊先のリゾートホテルの目の前の通りを歩いてみた。しかし歩き始めてものの数十秒で、若者に声をかけられた。「マイフレンド、遊ぼう。案内するよ。」と言い、そのストリートの店が何であるかを案内してくれる、が、結局のところ売春の斡旋をしているわけである。3000ペソでどうだという。後で決めるよ、と言っても常に一緒に歩き続ける。なるほどなぁ、確かに歩くのは怖いかもしれない。観光客は1人もいなかった。現地の男子高校生と思われる数名が、私たちの顔をまじまじと見ていた。ストリートで珍しい存在ということは、やはり観光客はあまり出ないのかな。確かに分かる。夜ならなおさら怖い。
途中、マンゴーを買う。1キロ、5個で80ペソ。安い。
海外に行っても、最終的に「その国の料理を日本で食べたほうが美味しい」というのはある。アジア然り、ヨーロッパ然り。しかしフィリピンが唯一誇れるほど極上に旨いもの、それがマンゴーである。
正直私は日本でマンゴーやらマンゴープリンを食べても、感動することはなかったが、フィリピンのマンゴーの美味しいこと。道ばたで1個16ペソ(約32円)で売っているマンゴーが、ぷるぷるしていて最高に美味しいのだ。これには参った。旅行中、一体いくつのマンゴーを食べたか分からないほどだ。ホテルに戻り、フィリピン・スタイル(皮を口でかじって剥く)で食す。最高のデザートだ。
写真:フィリピン・スタイルでむいたマンゴー
夜は別のセブ島内にある別のカジノへ。スロットで4000ペソ負ける。ううむ。次カジノへ行ったときのためにバカラ勉強しておこうか。
翌日は土産を買った。地球の歩き方に乗っていた土産屋が大層使えないものだったので結局空港内の土産屋へ。結構楽しみながら色々買えたので満足。濃密なスケジュールだったが、久しぶりの余暇を十二分に満喫した。
次の休みはどこへいこう。
いつもためになる記事、楽しく拝読しております。ショップチャンネル三昧、管理人スージーです。
10年ほど前にセブ島へ行き、その時ホテルのバッフェで出会ったマンゴーのおいしさを超えるマンゴーにはその後ほとんど出会えていません。出会えたとしても馬鹿高かったり…;。
10年経ってもセブの町中はあまり変わっていないようですね;。豊かな国になれる素質はあると思うんですが…やはり政治の問題でしょうか?
…すみません;。セブ島&マンゴーが懐かしくてついコメントさせていただきましたm(_ _)m。
アイランドホッピングも行きましたが(ウニも食べました;)…その時のガイドさんは良い人?だったようで良かったです;。はは;。