脳梗塞で血管内に詰まった「血の塊(血栓)」を物理的に回収する血管内治療用の機器が、昨年10月から保険診療で使えるようになった。
現在、超急性期、つまり発症直後〜3時間以内の脳梗塞については、薬物を点滴して血栓を溶かす「t‐PA静脈療法(以下t‐PA)」が治療の第1選択として定着している。ポイントは「発症3時間以内」。それを過ぎると、病変の周囲にダメージが拡がり「薬で血栓のダムが決壊したときの衝撃に耐えられず、出血を起こす」(脳神経外科医)可能性が強まる。
しかし実際に発症3時間以内、検査時間のロスを計算に入れると発症1〜2時間のうちに専門病院へ搬送される強運の持ち主は数パーセント足らず。また、重度の高血圧や糖尿病などの持病や条件によっては最初からt‐PAは使えない。
一方、脳血管内に詰まった血栓を物理的に取り除き、脳血管を再び開通させる「血栓回収デバイス(商品名メルシー・リトリーバー)」は「発症8時間以内」までの患者が対象。名前のとおり、血栓を回収=retrieveする機器で、足の付け根からカテーテルを通し、先端から伸びた形状記憶ワイヤーが脳血栓をからめとる仕組み。
血栓を引っ張り出す際に血管壁をキズつける可能性や、細い血管には不向きなど改良点はあるが、なんといっても時間的余裕があり、t‐PAを使えない患者や結果が思わしくない場合の追加治療に使えるなどメリットは大きい。海外の試験では、6〜7割の患者で脳血管が再開通し、その半数が社会復帰を果たしている。
脳梗塞の治療では「Time loss is Brain loss(時が失われると脳が失われる)」が大前提。早く治療を受けるほど重い後遺症を免れる。そしていまや、3時間を過ぎてもあわてることはない。欧米ではすでに血栓を破砕して掃除機のように吸い込む方法や、編み目状の軟らかいワイヤーで地引き網式に血栓を引きずり出す機器など、次世代の技術が続々登場している。願わくば、承認遅れによるタイムロスだけは避けてほしいものだ。
t-PAはなかなか適応時間が限られているので、使うに使えないということがままありますね。
患者本人だったらちょっと遅れても使ってほしいと思うでしょうけれども・・・。
そんなときにこの技術があればかなりの割合で助けられるはず。願わくば、日本でこの治療法が広まりますように。
足の先から頭まで…血管て繋がってるんですねー!(当たり前ですね笑)
ほんと、早く広まったらいいですね。いやぁ、医学ってすごい。