2006年08月04日

酸素を腸で吸収してやろうとする奇特な人が続出

酸素入りの水が人気、でも「飲む」とどうなるの?

 通常の数倍〜数十倍の濃度という酸素ガスをミネラルウオーターなどに溶かした「酸素入りの水」が最近、コンビニエンスストアなどで人気だ。今年の市場規模は昨年の3倍以上との推定もある。だが「飲む酸素」の「効き目」は、科学的にはよくわかっていない

 酸素入り水は、「現代人の酸素不足を補う」との触れ込みで酸素吸入できるようにしたバーやサロンなどと一緒にテレビなどで取り上げられ、大手メーカーも相次いで商品化。サントリーの推定では「酸素系飲料」市場は500ミリペットボトル換算で約7200万本規模。飲料全体からみればごくわずかだが、昨年の3倍以上の成長が期待されている。

 酸素は通常、呼吸によって肺から吸収されるが、酸素入りミネラルウオーターなどを販売する協同商事(埼玉県川越市)の広報担当者によれば、欧州の医学専門誌に01年、ウサギの実験で酸素が腸管から吸収されたという論文が掲載された。酸素入りの水で、筋肉疲労の目安となる乳酸値が下がったという論文もあるという。

 「健康によい」とうたう「水」商品に詳しい杏林大学の平岡厚・講師によると、酸素が水に溶けたまま腸に届けば、腸から吸収されて酸素の運び屋ヘモグロビンと結びつくことはあり得る。

 しかし酸素はもともと水に溶けにくい。ある酸素入り水500ミリリットル中の酸素は30ミリグラムほどで、これは成人男性の呼吸1回で肺に入る酸素の約5分の1の量にすぎない。

 名古屋大総合保健体育科学センターの石田浩司教授らは、同大陸上競技部の男子学生10人に、普通の水と、酸素濃度が約4倍の水をどちらか知らせずに別の日にそれぞれ350ミリリットル飲んでもらった。

 飲んでから15分後に運動をしてもらい、心拍数や持久的な能力の指標である最大酸素摂取量や、バテるまでの時間を比べたが、差はみられなかった。「この結果が一般人に当てはまるかどうかはわからないが、少なくともマラソン選手の記録は良くならないだろう」

 酸素入り水を手がける大手メーカーは「当社は、宣伝で具体的な効果・効能はうたっていない。リフレッシュ気分を味わってほしい」と話している。

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 要するに販売しているメーカー側も、「効き目は知らないけど酸素摂った気になってりゃいいんじゃねーの?」といった感じか。

 まあ腸で吸収されるとしても「酸素」なんだから肺で摂るのがもっとも効率良いわけで。なんでわざわざ腸のほうで吸収してやらんといかんのか分からない。酸素ガスを吸入したほうがよっぽど効率よくありませんか。
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posted by さじ at 09:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | 呼吸
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