弁護士の桑原博道氏は7月15日、日本病院学会のワークショップで講演し、「モンスターペイシェント」と称されるような迷惑患者に対しては、コミュニケーションを断つことも必要との考えを示した。そのためには、原則は医師法違反の診療拒否よりも、敷地や建物の「管理権」を行使する方が違法性は少ないと説明した。
桑原氏によると、管理権の行使は、迷惑行為の内容や患者の病態により例外的に違法になるケースもあるが、原則は合法行為。一方、診療拒否は「正当な事由」がない限りは原則、医師法違反で、「管理権の行使の方が、法的な問題は少ない」という。
一方で桑原氏は、コミュニケーションを断つことは「あくまでも例外」とも述べ、迷惑患者を8類型に分け、それぞれに合わせた対応を取るべきだと指摘した。
8類型は、(1)刑事犯型(2)粗暴型(3)反社会的勢力援助型(4)ストーカー型(5)居座り型(6)診療報酬不払い型(7)粘着型(8)精神疾患型―で、(1)から(4)には警察OBによる対応も有効だと説明。(3)については、代理人として弁護士を立てることも必要だとした。文書での回答を何度も求めるような(7)に対しては、早い段階でやりとりを打ち切る文書を送付すべきだと述べた。
また、(5)の実例として、特別療養環境室からの退院を拒み、娘と共に暮らし始めた患者を紹介。娘が病室のシャワーを使用していることを突き止め、水を止めることで解決したという。
この時代において、迷惑患者というのも増加の一途を辿っています。
基本的に善意重視の日本の医療においては、強く言えない、というのが根底にあるのでしょうけれど、それでは医療従事者の精神的負担があまりにも大きすぎる。有能な弁護士、警察などを介してやりとりをするようなシステムづくりが必要だと思います。