特定保健用食品市場で、サントリーと花王が熱い戦いを繰り広げている。「ヘルシアブランド」で先行する花王に対し、サントリーは5月16日に「黒烏龍茶」を投入、売り上げを伸ばしている。のどが乾きやすく需要の伸びが期待できる本格的な夏を迎え、両社の販売合戦はさらにヒートアップしそうだ。
≪「黒烏龍茶」350万ケース≫
「脂肪の吸収を抑えるという効能が高く評価されている」サントリー健康飲料部の清水隆徳課長は「黒烏龍茶」の好調な出足の要因をこう分析する。
黒烏龍茶は発売から3週間あまりで販売数量が100万ケースを超える大ヒット商品。サントリーは6月に入り、年内の販売計画を200万ケースから350万ケースへと大幅に上方修正するなど、さらに販売攻勢をかける姿勢をみせる。
黒烏龍茶は、ウーロン茶特有の成分で、とくに脂肪の吸収抑制効果が高い「ウーロン茶重合ポリフェノール」を豊富に含んでいるのが特徴だ。食事と一緒に摂取することで、食後の中性脂肪上昇を約20%抑制。さらに脂肪排泄効果も約2倍にアップするという。
発売にあたってのマーケティングでは、この“効能”を徹底的にアピール。既存商品である「烏龍茶」2リットル入りペットボトルに黒烏龍茶発売の情報提供シールを添付するなど、消費者への事前告知を徹底。また、発売前日の5月15日に「健康フォーラム」を都内で開催するなどPRに努めた。
さらに、食事と一緒においしく飲めることを訴えながら味わいの良さを強調。「健康への訴求一辺倒ではなく、食に対する前向きな生活をも訴求するような広告展開を行った」(清水課長)ことも功を奏したという。
一方、「ヘルシア緑茶」で一世を風靡し好調さを維持する花王も、5月27日にヘルシアブランドの新商品「ヘルシアウォーター」を発売し、サントリーに対する迎撃体制を整えた。
03年5月に発売したヘルシア緑茶は、緑茶の苦み・渋みを構成する成分で脂肪の消費を促進する「高濃度茶カテキン」を含有していることが消費者から支持された。売り上げのピークとなった04年度は、年間300億円強を売り上げ、一躍ヘルシアブームを巻き起こした。
新商品として市場投入したヘルシアウォーターは、茶カテキンを含有した特定保健用食品のスポーツドリンク。特定保健用食品の中で、体脂肪に関する表示許可を取得したスポーツドリンクは同商品が初めて。新たなヘルシアファン開拓を狙う。
≪「ヘルシア」300億円≫
発売から約2カ月。売れ行きは「当初計画の約2倍」(広報担当)と好調な滑り出しだ。「スポーツドリンクということで、これからの暑い夏場でさらに売り上げを伸ばしたい」(同)と意気込む。06年度はヘルシア緑茶とヘルシアウォーターのヘルシアブランド全体で、300億円の売り上げを目指す。
特定保健用食品の国内市場規模は約7000億円といわれ、年ごとに2けた成長を続けている。こんなおいしいビジネス市場を各企業が黙って指をくわえて見ているはずはない。06年6月15日現在で、厚生労働省から特定保健用食品の承認を受けたのは、587品目にものぼる。
健康ブームも追い風に、特定保健用食品需要は今後も拡大するとみられている。花王の「ヘルシア緑茶」、サントリーの「黒烏龍茶」に続く大ヒット商品を目指す各社の動きも活発化するのは必至。特定保健用食品の覇権争いは、ますます激しくなりそうだ。
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なるほど。食事と一緒に、黒烏龍茶を飲めば脂肪を体内に取り込む量が少なくなるというわけで、どちらかというと意志の弱い人に向いているかもしれません。というのもヘルシア系飲料の最大のメリットは、脂肪の燃焼を促進するというものであり、運動をしているときに効果が倍増しそうなイメージがあります。その点を狙ってヘルシアウォーターなるスポーツドリンクを販売する点は流石です。消費者のニーズを見事に突いています。まあ食べる量を減らすより、運動で燃焼してやるのが一番健康的だし効果的だと思いますけどね。
【用語解説】特定保健用食品
体に有益な効果が明らかにされ、安全性も保証され栄養学上も問題ない食品。特定の保健の用途に役立つという内容を表示して販売できる。販売にあたっては、厚生労働省の審査を受け、表示許可を受ける必要がある。
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普通の烏龍茶よりもんまい。