世界最大手の製薬会社、米ファイザーの日本法人が7月に国内販売を始めた抗うつ薬の説明文書について、精神科医の団体が「矛盾した記載がある」と公開質問状を送り、臨床試験データの開示を求める異例の事態が起きている。同種の薬には、使い方を誤ると自殺の危険性が高まるとの指摘があり、医療現場では「患者からの訴訟リスクもある。このままでは処方できない」との声があがっている。
公開質問状を出したのは、精神科の開業医でつくる「日本精神神経科診療所協会」(日精診、会員約1400人)。SSRIと呼ばれるタイプの抗うつ薬「ジェイゾロフト」についてたずねた。同薬は年間売上高が世界で3700億円に達し、日本ではうつ病・うつ状態とパニック障害の治療薬として厚生労働省が4月に承認した。
問題の文書は、ファイザーが国内販売開始を控え事前説明用に配布した冊子。うつ病・うつ状態とパニック障害に関する国内臨床試験の結果について、「優れた効果を示した」とする記述と「いずれの効果も保証するには不十分」との記述が同時に掲載され、薬剤の効果について説明が矛盾する形となっている。
国内臨床試験では当初、ほかの薬と効果を比べる一部の試験で有意なデータを得られなかった。このため、途中から別方式の試験を採用。投与で効果が出た被験者を途中で2グループに分け、投与を続けた例と、薬の成分の入っていない試験用の偽薬に切り替えた例とを比べて有意なデータが得られたとし、承認申請した。
日精診は「このままではリスクを効果が上回ると患者に説明できなくなり、処方するのは困難になる」としている。
質問状に対し、ファイザーの日本法人は7月5日に文書で回答。効果の保証は不十分とした記載について、専門家からの指摘で記載を指導されたといい、「修正を検討する」としている。
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確かによくわからん記述ですね。精神科領域の投薬は慎重に行わねばならないため、医師たちが混乱するのも分かります。
また、同種の「自殺の危険の高まる薬」とはパキシルのことでしょう。
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