全身の筋肉が萎縮し動けなくなるデュシャンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の進行を、特定の低分子化合物の投与によって遅らせることに、神戸大などの研究グループ(代表・松尾雅文神戸大名誉教授)が、患者の細胞実験で成功した。治療薬の開発に役立つ成果という。11日付けの英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ電子版に発表する。
DMDは、筋肉を維持するタンパク質「ジストロフィン」が失われる遺伝性の疾患。松尾名誉教授らはこれまでに、ジストロフィンの働きをするタンパク質の産生を促す高分子化合物の注射治療で、運動機能が向上するなど一定の効果を実証した。しかし、高分子化合物が体内に吸収されにくい欠点があった。
今回、同様に効果が見込まれていた低分子化合物を、患者の男児から採取した筋肉細胞に投与したところ、ジストロフィンに似たタンパク質の産生を促すことが分かった。今後、別の患者の細胞でも確認を急ぐ。
とうとう治療薬の誕生か。遺伝疾患なので、小さいうちから投与すれば機能を失わずに長い間暮らすこともできるようになるかも。