耳が聞こえない人に言葉を手話で伝える「手話通訳者」の約8割が肩凝りを訴え、5人に1人が「頸肩腕障害」を発症している可能性が高いことが、「全国手話通訳問題研究会」(京都市)の調査で分かった。20年前と比べほとんど改善していない。手話通訳者は首相会見の同時通訳など専門性が高いが、見た目以上に仕事はハードだ。研究会は、仕事の質の割に待遇と人手が十分でないことが原因とみている。
頸肩腕障害は、同じ姿勢のまま繰り返し手を使い続けることで、凝りやしびれに加え体のだるさや吐き気、睡眠障害などを引き起こす職業病。手話通訳者のほか、保育士やOA機器を使う会社員も発症する。
調査は昨年9月、全国の手話通訳者1535人を対象に実施。首、肩、腕、手のどこかに常に痛みやしびれを感じている手話通訳者は20.2%で、10年前の調査(20.4%)の横ばい。20年前(24.2%)からも改善されていなかった。
また、痛みやしびれを伴う頸肩腕障害の前兆となる凝りは「いつも」と「時々」を合わせると肩79.8%、首68.0%にのぼったほか、目の疲れを訴える人も77.8%にのぼった。
研究会の森川美恵子理事は「専門的な仕事なのに、待遇が悪く、なり手がいないから、特定の人に仕事が集中する。健康問題を解決するには、社会の理解が欠かせない」と話している。
健常者の話を手話に変え、聴覚障害者の手話を話し言葉に置き換える専門職。手話通訳技能認定試験を合格した厚生労働大臣公認の「手話通訳士」のほか、都道府県などに認定される人もいる。今年2月1日現在の手話通訳士は2614人。
3000人にも満たないんですねぇ。そりゃ結構な重労働になりそう。何せ会話を身振り手振りに変換するわけですからね。
待遇改善というよりも成り手を増やすしかなさそうですが。