2006年07月13日

副作用の少ない新しいタイプの抗HIV剤を開発

副作用少ない抗HIV剤

 細胞に感染したウイルスが増殖する際、従来の薬とは違う過程でその働きをブロックする新しいタイプの抗ウイルス剤を、東京医科歯科大、国立感染症研究所、岐阜大などの研究チームが開発した。

 エイズウイルス(HIV)のほか、SARSウイルスやサイトメガロウイルスなどで効果が確認できた。従来の薬と比べ副作用が少なく、理論的には耐性ウイルスも出現しにくいといい、感染症の新たな治療に道を開くと期待される。11日の米国科学アカデミー紀要電子版に発表する。

 HIVは、1本のRNA(リボ核酸)から複数のたんぱく質を作って増殖する。研究チームは、増殖を制御する特殊な酵素に着目し、その働きを阻害する物質を合成。HIVに感染した細胞で試したところ、ウイルスが3分の1以下に減った。

 HIVの場合、細胞への感染から「逆転写」や「たんぱく質の分解」といった複雑なステップを踏んで増殖する。従来の治療薬はこうした過程を邪魔していたが、薬としての副作用が強かった。

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 良い機会ですので、上の2つの薬の機序を説明しておきますか。まず、DNAが増殖するとはどういうことなのか。DNAが増殖するには、まず元となるDNAを「鋳型」として、mRNAを作ります。このmRNAからDNAを作るわけですが、DNAからmRNAを合成する過程を「転写」といいます。つまり鋳型のコピー情報を作ることですね。

 で、ですね。元来この転写というのは「DNAからRNAへ」の一方方向のみだと思われていたわけです(フランシス・クリックという偉い人が「セントラルドグマ」として提唱したのがそれです)。ところが、実はRNAからDNAへも出来たんです。このことを「逆転写」と呼びます。

 さてHIVに戻ります。HIVは、RNA型のウイルスです。逆転写してDNAを作り出したい!そこで用いられるのが「逆転写酵素」です。逆転写酵素の存在により、HIVは増殖することができるのです。

 では逆転写酵素にくっついて活性を阻害して逆転写起きないようにしてやればええやん?ということで作られたのが「逆転写酵素阻害薬」です。デラビルジン、ネビラピンなどがあります。

 ではプロテアーゼ阻害薬とは?HIVのウイルスが合成される時、ウイルス単体が大量に作られるわけではありません。まず、連なった大きなタンパク質が合成されます。それを、プロテアーゼと呼ばれる酵素によって切断してやることが必須となってくるのです。じゃあプロテアーゼを阻害してやればええやん?ということで作られたのが「プロテアーゼ阻害薬」です。

 従来の治療法では、この2つを組み合わせるカクテル療法が良い効果を上げていました。今回のコレは、プロテアーゼ阻害薬や逆転写酵素阻害薬とは違った形の薬ということでしょう。更に向上する治療法になるであろうことを願って。


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posted by さじ at 23:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感染
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