農業生物資源研究所と東京大などの研究グループは、昆虫の脱皮・変態にかかわる二種類のホルモンの働きとメカニズムを発見した。ホルモンの分泌量に応じて脱皮を進めたり止めたりする機能があり、害虫を脱皮させずに殺す新たな農薬の開発に役立つと期待されている。
昆虫が成長する過程では、幼虫が脱皮を繰り返して大きくなり、さらに幼虫からサナギ、サナギから成虫へと変態する。この時、体内で「脱皮ホルモン」が合成されることは知られていた。
脱皮ホルモンは、昆虫の胸部にある「前胸腺」と呼ばれる組織で合成される。前胸腺には、脳から数本の神経がつながっているが、これまでその役割は分かっていなかった。
研究グループはカイコを使って実験した結果、脱皮ホルモンの合成を制御するペプチドホルモンが、この神経を通って前胸腺に直接運ばれていることを突き止めた。さらに、その量が増えると、脱皮ホルモンの合成を抑える関係にあることも分かった。
幼虫が脱皮できないままだと、餌を食べなくなり、やがて死ぬ。
ペプチドホルモンは、昆虫によって種類が異なるため、特定の害虫を退治する農薬の有効成分となる可能性があるという。
ここがミソ
昆虫の脱皮は、古い皮膚を脱ぐ行動と、新しい皮膚を作ることが一緒になっている。脱皮ホルモンは、新しい皮膚を作らせる働きを担っている。
脱皮は昆虫の生死に直結するだけに、体内の別の器官に影響が出ないことや、反応の早さなど厳密なホルモン分泌の制御が欠かせない。神経がその経路だったことは当然だろう。
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おお凄い。脱皮させないと自然に死んでしまうことを利用して農薬を開発しようとは。その脱皮ホルモンとやらが本当に無害なのかどうか疑問ですが…笑