2006年07月04日

睡眠時無呼吸症候群の患者が事故を起こした場合無罪となるのか

「重度の睡眠時無呼吸症候群」 彦根・名神多重事故公判で医師証言

 滋賀県彦根市の名神高速道路で昨年11月、日系ブラジル人の男性7人が死亡した多重事故で、業務上過失致死傷の罪に問われたトラック運転手松崎雄大被告(40)の公判が3日、大津地裁(久禮博一裁判官)であった。弁護側の証人尋問で、松崎被告を診察した京都大付属病院呼吸器内科の中村敬哉助手が「被告は重度の睡眠時無呼吸症候群(SAS)」と証言した。

 中村助手は、呼吸運動や睡眠状態を調べる睡眠ポリグラフ検査を行った結果、松崎被告は睡眠時に無呼吸状態に陥る回数が極度に多く、早期の治療が必要、と説明した。その上で「過労や睡眠不足もあったかもしれないが、SASの影響で、運転中に寝てしまった可能性は否定できない」と述べた。

 久禮裁判官はこの証言を踏まえて、検察側に訴因(起訴事実)の内容を変更するかどうかを尋ね、検察官は「検討したい」とした。弁護側は公判で「事故はSASの影響と考えられ、過失はない」と無罪を主張している。

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 む…。確かにSASは十分な快眠を得られないため、日中も眠気が多く寝てしまうことはあります。が、そのため過失がないかというと微妙なところです。誰も気づかなかったんでしょうか?本人も?眠気でも、異常を感じたらすぐ病院へ行きましょう。

関連:睡眠時無呼吸症候群向けに最新の治療装置

 閉塞性睡眠時無呼吸は最も一般的なタイプで、のどや上気道がふさがると起こります。米国では、中高年の男性の約4〜6%、女性の1〜2%がこの睡眠障害をもっています。閉塞性睡眠時無呼吸はあお向けに寝る肥満の人に最も起こりやすく、これはおそらく肥満と組織の老化などが組み合わさって、上気道が狭くなる結果と思われます。喫煙と過度の飲酒は、閉塞性睡眠時無呼吸を悪化させる原因になります。また肺の病気があると、すぐに酸素不足になります。のどや上気道の狭さは、家族に共通してみられる傾向があり、睡眠時無呼吸のリスクを増大させます。小児では、扁桃やアデノイドの肥大が閉塞性睡眠時無呼吸を引き起こします。

中枢性睡眠時無呼吸はまれなタイプで、呼吸を調節している脳領域(脳幹)の機能障害によって発症します。脳幹は、正常であれば血液中の二酸化炭素(酸素代謝による副産物)量の変化に非常に敏感に反応します。二酸化炭素量が増えると、脳幹は呼吸筋に信号を送って、もっと強く速く呼吸して二酸化炭素を外へ吐き出すように指令を出します。逆の場合も同じです。ところが、中枢性睡眠時無呼吸では、二酸化炭素量の変化に対する脳幹の感受性が鈍くなっています。血液中の二酸化炭素の増加に対する反応が遅いため、体が過剰反応して過換気になり、その状態が長びいてしまいます。同様に血液中の二酸化炭素の除去に対する脳幹の反応が遅いため、一時的な呼吸停止が長びいてしまいます。中枢性睡眠時無呼吸をもたらす脳幹の機能障害の原因には脳腫瘍が考えられます。心不全患者にも中枢性睡眠時無呼吸が起こります。中枢性睡眠時無呼吸の1種である「オンディーヌの呪い」と呼ばれるタイプでは、はっきりと目が覚めているとき以外は十分に、あるいはまったく呼吸ができません。中枢性睡眠時無呼吸は、肥満には関係ありません。

引用;メルクマニュアル家庭版
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posted by さじ at 02:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | 呼吸
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