このところ頭の両側がズキンズキンと締め付けられるように痛いDさん、46歳。今朝は駅の階段を駆け上がった拍子に、キーンとした痛みに襲われた──。
頭痛には○○。たいていの人が○○に市販薬の名前を入れるだろう。診療科名なら内科だろうか。しかし、正解は「頭痛には神経内科」。特に中高年の頭痛は重大な病気の兆候である場合が珍しくない。特に今まで経験したことがない頭痛は「一発勝負」で重大な病気かどうか診断してもらう必要がある。市販薬で時間をムダにする前に専門医に診せるべきだろう。
中高年男性が気をつけたい急性頭痛のナンバーワンは、「高血圧性頭痛」。血圧の上昇に伴って生じる頭痛で、一般に収縮期血圧(上の血圧)が200を超えると、両側頭部に脈拍に同調したズキンズキンという痛みが生じる。そして拡張期血圧(下の血圧)が110を超えると、今度は頭の後ろに板を張ったような重い頭痛になることが多い。
また急な動作やセックスの最中にも激しい頭痛が生じる。特に、射精時にキーンとした頭痛が起こるようなら高血圧性頭痛を疑い、すみやかに降圧治療を受けること。重症化すると頭痛どころか、嘔吐や意識障害を起こすことがある。
気をつけたい急性頭痛の2番目は「くも膜下出血」に伴う頭痛だ。激しい頭痛が突発し、安静にしていても激痛が続く。吐き気や嘔吐、意識障害などを伴うため、消耗がひどい。くも膜下出血の発症リスクは喫煙で3倍に上昇する。喫煙者の急な頭痛は神経内科に直行しよう。
致命的ではないが、侮れないのが「急性副鼻腔炎」に伴う頭痛である。鼻づまりや熱など風邪に似た症状に続き、前頭部の片側に重い痛みと頭が膨張するような感覚が生じる。鼻周囲の副鼻腔に膿がたまり内圧が上がるのが原因だ。放置すると炎症が眼窩に拡がり、数日で失明する危険性がある。風邪の後で日ごとに悪化する頭痛が残った場合は要注意だ。
一方、慢性頭痛も一度は神経内科を受診して頭痛のタイプを知るといい。痛みの位置や頻度、両側か片側か、ズキンズキンとした拍動性の痛みか、頭全体を締め付けるような痛みか、など問診だけでも頭痛のタイプが特定でき、治療薬や予防方法がかなり変わる。
慢性頭痛の代表の片頭痛では、軽度〜中等度の痛みなら頓用のトリプタン系薬剤の内服や点鼻薬が、日常生活に支障があるなら予防薬が優先される。ケースによって抗てんかん薬が奏功することも。鎮痛薬で一律に痛みを抑えるより、自分に合った頭痛のコントロール方法が見つかるはずだ。
すごくわかりやすい。
頭痛を感じる人は結構いますが、その中でもどういう頭痛なのか、その頭痛に緊急性はあるのかなど様々です。
突然発症した頭痛にはご注意ください。