せき、くしゃみなどで腹部に力が入った際に尿が漏れる「腹圧性尿失禁」の患者に対し、本人の筋肉から採った細胞を培養後、尿道の筋肉へ注入して症状を改善することに、米ピッツバーグ大のM・チャンセラー教授と吉村直樹・准教授らが成功した。
トロント大(カナダ)と共同で実施した臨床試験は、同大の40〜60代の女性患者7人が対象。まず太ももの筋肉から細胞を採取し、これを約4週間培養した後、それぞれの尿道の筋肉へ注入した。このうち尿道の筋肉の浅いところに注入した2人は効果が見られなかったが、深いところに注入した他の5人は症状が改善。注入は外来治療で済み、副作用も特に報告されていないという。
腹圧性尿失禁は、尿道を締める筋肉が弱まるのが原因。出産を経験した中年女性に多い。研究グループは「培養細胞には幹細胞が含まれる。それが新しい筋線維に分化し、尿道周辺の筋肉の働きを強めたのだろう」と推測。「米国だけで1300万人が尿失禁に悩んでおり、今回の成績には、非常に勇気づけられる」としている。
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腹圧性尿失禁は、出産の他、尿道や子宮の位置の異常、骨盤周囲の手術などで括約筋が弱くなるために起こります。男性でも前立腺の手術などの際に傷ついて尿失禁に陥ることも。
これも1つの「再生医療」の形でしょうね。尿失禁で悩んでいる方はかなり多いと思われます。注入するだけで済み、更に副作用もないことから、今後に期待が持てそうです。