2011年05月12日

車椅子で移動時の骨折に対するインシデントレポート。

廊下…車椅子で移動時の骨折(60歳代女性)

1.事故の概要と経過

 脳梗塞による右上下肢麻痺のリハビリを目的に入院中であった。看護助手が車椅子を押して食事に連れていく途中で、患者の右下肢が車椅子の下に挟まって右第5足指末節近位端内側骨折となった。9針縫合、シーネ固定となった。なお、右足第4・5足指間、第5足指側の裂創の縫合にあたっては右下肢麻痺のため麻酔の必要はなかった。

 患者側は娘婿が中心となって、具体的ではないが賠償請求をしてきた。また、医師が「悪い方の足を怪我して良かったね」との発言に憤りを感じ続けた。患者は息子と二人暮らしで、息子は知的障害者の無職であり、生活保護世帯のため医療費の自己負担はなかった。患者は脳梗塞のため発語障害があり、知的障害は認められないが字も書けずにコミュニケーションを取るのが困難な状況にあった。

 医療機関側は、右上下肢麻痺の患者を車椅子で移動させる場合の基本的な注意義務を怠ったとして、全面的に過失を認め患者・家族に謝罪した。

 紛争発生から解決までに約1カ月間要した。

2.問題点

 医療機関側も認めているとおり、右上下肢麻痺の患者を移動させる際には、足の位置等を確認するべきであったろう。食事時で看護助手が忙しかった状況は理解できるが、だからと言って患者を負傷させた正当な理由にはならない。しかも、患者が特に暴れるなど自己責任部分も認められないので全面的に医療機関側の過失と判断せざるを得なかった。患者側にとって医療界のマンパワー不足は医療事故の言い訳にはならないという、医療機関側にとって厳しい現実を突きつけられたケースであった。

3.解決方法

医療機関側が全面的に過誤を認め謝罪と共に賠償金を支払い示談した。

【廊下での医療安全対策】
(1)定期的に床の濡れのチェック(ジュースやプリン等の零れを含む)をする。特に雨天日等は入念に行う。
(2)明るさ(電灯)のチェックを怠らない。
(3)障害物(段ボール等)は撤去する。
(4)前方が見えにくいものは押さずに引く。



 こういう院内の事故の報告をこういう形でインシデントレポートにすることで、全国的に「事故を未然に防ぐ」ことが可能になるわけです。

 なるほど、こういうところに気をつけようという、イメージトレーニングにもなりますしね。


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posted by さじ at 02:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 介護
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