2011年05月10日

特定看護師の条件や医行為の許容範囲などを議論するワーキンググループ

「特定看護師」の要件や医行為の案を提示

 厚生労働省の「チーム医療推進会議」の「チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ(WG)」(座長:有賀徹・昭和大学病院長)の第13回会議で、同省は「特定看護師(仮称)」の要件やその業務範囲の案を提示した(資料は厚労省のホームページに掲載)。

 要件は、(1)看護師の免許を有する、(2)実務経験5年以上、(3)厚労大臣の指定を受けた養成過程を修了、(4)厚労大臣から知識・能力・技術の確認・評価を受ける――など。「養成課程」は、2年課程と8カ月程度の課程の2種類を設けるとし、業務の範囲に差を設けることとしている。2010年度から実施されている「特定看護師(仮称)養成調査試行事業」は、2年課程の大学院における「修士課程調査試行事業」と、日本看護協会などにおける「研修課程調査試行事業」に分かれている点を念頭に置いた対応と言える。

 専門看護師や認定看護師との関係については、「医療現場において担う役割は完全に一致するものではなく、医療サービスの質の向上の観点からはいずれの枠組みも必要」であるとした。「特定の医行為」を「特定看護師(仮称)」のみに認める業務独占、さらには名称独占にするかについては規定せず、メリット、デメリットをそれぞれ挙げるにとどまった。

 具体的な業務・行為例としては、例えば、急性期などでは、抗不整脈剤の投与のほか、経口・経鼻挿管チューブの挿管・抜管、皮下膿瘍の切開・排膿など、慢性期・在宅では褥瘡の壊死組織のデブリードマンなどが挙がり、侵襲を伴う処置なども含まれている。「現在看護師が実施している割合が、約10%以下の行為の中から、今後看護師が実施する可能性や試行事業の状況なども踏まえ、例として挙げた」(厚労省医政局看護課)。

 社会医療法人董仙会理事長の神野正博氏は、「特定看護師(仮称)が実施する医行為がようやく出てきた。ただ、現場で優秀な看護師が既にやっている行為もあり、わざわざ大学院を修了する必要があるかなど、要件については議論の余地がある」と述べた上で、「特定看護師(仮称)の行為には、責任が伴う。特定の医行為を実施させるならば、(診療の補助は医師の指示の下で行うと規定した)保助看法37条を変更する必要があるのではないか」と指摘。

 東京大学大学院法学政治学研究科教授の山本隆司氏は、「現在の法律は、看護師をすべて等しく扱い、『診療の補助』の範囲については、通知で拡大されてきた。『この要件を満たした看護師は、○○の行為ができる』という規定は、通知ではできず、法制度そのものを変える必要がある。ただし、変更する際は、現場が動け、現場とのかい離がない形で制度を作る必要があり、議論が必要」との見方を示した。

 「フィジシャン アシスタントを作るのか」

 もっとも、27日の議論の多くは、「特定看護師(仮称)」の要件などではなく、「特定看護師(仮称)」の創設に向けた議論の進め方に終始した。

 議論の進め方に異論を呈したのは、財団法人星総合病院理事長の星北斗氏や東京医科歯科大学大学院教授の井上智子氏など。

 星氏は、従前からの主張を繰り返し、「医療現場の実態を踏まえ、どんな行為であれば、一定のトレーニングを積むことにより、看護師が安心して実施できるか。それを見極め、特定看護師(仮称)の業務として位置づけていくことが必要。しかし、この議論のためにはデータがまだ集まっていない。試行事業のデータを踏まえる必要があるが、なぜこんなに議論を急ぐのかが分からない。また専門看護師と認定看護師が現在、どんな仕事をし、何が問題になっているのか、特定看護師(仮称)とどう違うのか、そうした議論もないままに進められることに、本ワーキンググループへの不信感がある」と強く問題視した。

 井上氏は、「看護師の業務範囲の拡大はありがたいが、2010年3月の厚労省検討会報告書で、特定看護師(仮称)が打ち出された時には、看護界にはむしろ不満が出た」と指摘、星氏と同様に、専門看護師や認定看護師と「特定看護師(仮称)」の役割の違いについて説明を求めた。さらに、「特定看護師(仮称)の役割を、医行為の形で列挙されると、『医行為を行う大卒の看護師を作る』といったイメージが拭えない。このままでは、PA(フィジシャン アシスタント)を作ることになりかねない。その方向に行くのはとんでもないこと」とクギを刺した。

 一方で、「特定看護師(仮称)」創設に向けた議論を支持したのが、防衛医科大学校外科教授の前原正明氏、亀田総合病院看護部長の竹股喜代子氏、東京大学大学院医学系研究科教授の真田弘美氏など。

 前原氏は、「特定看護師(仮称)へのニーズがあり、その話を前に進めようとして始まったのが、このワーキンググループ。周術期や在宅など、ニーズがあるところから始めていくべきというのが私の考え。結論は、5年も10年も待てない。1年、2年ののうちにやっていきたい。試行事業で問題があれば、チェックしていけばいい」と指摘。また、「特定看護師(仮称)」は、専門看護師や認定看護師とは、一定の医学教育を課すこと、また実践内容などの点で相違があるとした。

 竹股氏は、「看護師が可能な範囲は徐々に広がってきており、私が看護師になった時代と今とでは相当違う。それが患者に貢献していることは分かる。確かに大変で、教育には時間もかかるが、特定看護師(仮称)の議論を機に、それ以外の看護師の業務範囲を発展させていく機運も高まっている。両者は同時進行でやっていくのがいいのではないか」とコメント。さらに、専門看護師や認定看護師と、「特定看護師(仮称)」は、侵襲性が高い行為が行い得る点などで相違があるとした。「是非はあるが、今回は医行為の拡大が前提であり、そのためにはどんなアプローチが必要かというプロセスで議論していくべき」(竹股氏)。

 真田氏は、「最初に特定看護師(仮称)の話が出た時には驚いたが、看護師がリアルタイムに対応できないのも現実。その解決策として、特定の医行為を認める条件を検討するのが、このワーキンググループの役割ではなかったのか。もともと“ グレーゾン”の問題があり、看護業務実態調査を行った。その結果を踏まえ、特定看護師(仮称)が可能な医行為を議論するプロセス自体には問題ない」との考えを示した上で、「特定看護師(仮称)」に対し、仮に侵襲性の高い医行為を認めるにしても、あくまで医師の包括的指示の下での実施を前提とするが、この包括的指示の定義が曖昧なために、議論が難しくなっていると指摘した。



 特定看護師、と銘打ってますけれど、要するに助産師みたいなポジションというか、「通常の看護師より行える医行為が格段に多い」のが特徴といったところでしょうか。

 確かに記事中にある「否定派」の意見ももっともですけど、今からいちいちデータを集めてどうたらとかしなくていいんじゃないですかね。そもそも看護業務がグレーゾーンなのですから。ここはひとつフレキシブルに動いてみてもいいのでは。

 何故必要かというと、もちろん医師不足な地域における「医療行為を行える人手不足」に対応するため、でしょう。

 正直言って医師と看護師は全然別ものですけれど、だからこそ、「必要な医療行為」は「どちらがやってもいい」と思うんですよね。

 昔はもっと、看護師は「ただ看護するだけ」だったのかもしれないですけど、今その看護の質そのものが変わってきているわけで。

 褥瘡専門の看護師の知識は普通の医者以上にありますし。そういう知識を備えながら、在宅でデブリードマンなどの手技を行うのに何の危険性も感じませんが(もしそれで危険だというのなら医師免許をとった者全員がやっていいはずがない)

 否定派の意見はどっちかというと都会の総合病院で「医療行為のお手伝い=フィジシャンアシスタント」を行うのを懸念していて、肯定派は「地方の医師不足の小さいところで必要とされている医行為を行えるようにする」というところにあるのでしょう。

 個人的には「医行為を行える人が増えるにこしたことはない」と考えますので、別にいいと思うんです。フレキシブルに、ね。

医学処:急性期看護の日本版「ナースプラクティショナー」を養成


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posted by さじ at 23:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | 介護
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