2011年05月10日

水と高分子が混じった中間水に人工血管内の血液凝固を防ぐ働きがある

「中間水」の新機能発見 山形大大学院・田中教授

 水が特定の高分子と混じった際に出現する「中間水」と呼ばれる特殊な水に、人工血管内の血液凝固を防ぐ働きがあることが、山形大大学院理工学研究科・田中賢教授(41)=バイオ化学工学=の研究で明らかになった。ほかにも、がん細胞や、再生医療に不可欠な幹細胞を血液中から選択的に抽出する機能があることも判明。次世代医療を支える基盤になり得る新たな知見として注目され、田中教授の研究は日本学術振興会の最先端・次世代研究開発支援プログラムに採択された。

 一般的な高分子材料に水を含ませると、運動性が高く自由に動き回る「自由水」と、他の物質と強く結合する特性の「不凍水」に分かれる。さらに材料の種類によっては、両者の中間の性質を持つ「中間水」が出現する。

 人工血管内で血液が固まる前段として、血液中の水分子が、内壁をコーティングする材料に吸着する。田中教授は、コーティング材料の違いによる血管のつまり具合の差を、材料に吸着した水の成分に着目して解析した。その結果、血栓ができにくい材料には共通して「中間水」が存在することを突き止めた。

 田中教授によると、「不凍水」が材料と強く結合すると、それが生体にとっての異物と認識され、血液が固まる反応が起きる。だが、そこに「中間水」がある場合、適度に結合するという性質で異物を覆い、凝固反応をしにくくさせるとみられる。「自由水」は材料と結合せずに動き回るので、異物を被覆する役割を果たせないという。「中間水」の存在は知られていたが、その機能を見いだした点が大きな成果だ。

 血栓対策は人工血管の最大の課題。特に医療現場では直径4ミリ以下の細い人工血管の需要が高く、各国が開発競争を繰り広げるが、細いほど血液が詰まりやすく、まだ実現できていない。田中教授の研究は、こうした状況を大きく変え、生体親和性の高い医療材料の開発を飛躍的に進展させる可能性がある。

 さらに、材料の「中間水」含有量を制御することで、血液中のがん細胞や幹細胞を選択的に吸着させられることも分かった。がん細胞を抽出できれば副作用のない治療技術の開発に役立ち、幹細胞を集めることができれば再生医療の進歩につながる。

 最先端・次世代研究開発支援プログラムには5618件の申請があり329件が採択された。本県では田中教授の研究のみ。「生体の70%は水。最大成分であり重要であるとされてきたが、どう重要かは分からなかった」と田中教授。今後「中間水」と細胞との関係性をさらに深く追究し、医療用材料の設計技術の基盤を確立させたい考えだ。田中教授は「材料開発の研究から生命の本質にかかわっていくことになった。根本を抑える研究であり、そう簡単に結果は出ないかもしれないが、ある程度の見通しはある」と話している。



 人工血管の分野が発達すれば、例えば手術の際にどこの血管を注意しようとか、どこから血管もってこようかといった悩みがなくなります。

 この技術が確立されて、数ミリの細い人工血管、しかも詰まらないものが作られれば、手術の成功率というか、「手術までもっていける」疾患が飛躍的に上昇するでしょう。この分野の研究、大いに期待できそうです。

医学処:絹の繊維と織物の技法を用いて作った人工血管の世界。
医学処:第50回国際脈管学会に学ぶ、最先端血管治療法。
医学処:絹を使った人工血管などの再生医療技術を東京農工大が研究。


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posted by さじ at 03:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 循環
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