2006年06月29日

細胞シートによる再生医療、いよいよ臨床応用段階に

再生医療の細胞シート技術・臨床応用段階に

 東京女子医科大学の研究グループが開発した再生医療の細胞シート技術が七月から本格的な臨床応用段階に入る。同大は食道がんの後遺症による狭さくを防止する治療法の臨床研究をスタート。今年から来年にかけて同大や東京医科歯科大学は、穴が空いた肺の治療や歯槽膿漏で失われた歯周組織の再生にも着手する予定。

 細胞シート技術は女子医大の岡野光夫教授、大和雅之助教授らが開発した。特殊な培養皿で細胞をシート状に成長させ、病気の患者の組織表面に張り付けて機能を回復させる。これまで臨床応用は皮膚や角膜など体表にとどまっていた。体内の組織・臓器にも応用範囲が広がってきた

 女子医大が七月から始めるのは食道がんの手術で表面の粘膜を切除した後、炎症を起こして食道が狭くなってしまうのを防止する技術。患者の口の粘膜を採取してシートに成長させ、筋肉がむき出しになった食道に張り付ける。

 がんの手術などで穴が空いた肺の表面に、細胞シートを張り付けて治療する手法の臨床研究も実施する。患者の皮膚から採取した細胞をシートにして使う。

 従来は生分解性樹脂製シートなどで穴をふさいでいた。細胞シートだと伸び縮みし、肺の機能を妨げないなどの利点がある。早ければ今年度中にも実施する。

 また、共同研究先の東京医科歯科大は、歯周組織再生の臨床研究を来年中にも開始する計画。歯の根元にある「歯根膜」が歯槽膿漏によって失われた患者に実施する。歯根膜は歯と歯を支える骨との間でクッションのような役割を果たす。

 親知らずなどから採取した細胞をシート状にし、歯根膜が失われた歯を抜いて巻きつけ、元の場所に戻す。歯の根元で雑菌が繁殖し、歯を支える骨が溶けてしまうのを防ぐ効果が見込めるという。

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 久々にキました。最も現実的な再生医療として期待されている、東京女子医大の研究です。食道の表面の粘膜を切除した時、放置しておくと炎症が起こってしまうので、細胞シートで覆ってやります。するとあら不思議、炎症が起こることなく綺麗に治るんですよね。この画像を見たことがありますが、実現可能な、大変有望な研究でした。

 まだまだ期待し続けます。より臨床的応用が増えることを願って!

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posted by さじ at 06:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学
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