東日本大震災で、診療所など地域医療を担う施設が大きな被害を受けたことから、日本医師会は医療活動を続ける開業医らに独自の支援金給付に乗り出した。
また、被災地での実態調査を始め、政府に医療機器の再購入やスタッフ雇用への補助、債務の免除などを求める方針だ。
宮城、岩手、福島各県医師会などによると、宮城県で沿岸部を中心に病院9か所と診療所68か所が全壊し、病院53か所、診療所327か所が一部損壊。医師9人が死亡した。
岩手も57の医療機関が被害を受け、このうち19か所が全壊した。医師2人が死亡し、3人が行方不明。福島は、いわき市で診療所9か所が全半壊している。
規模が小さい診療所などへの支援は手つかずで、再開を目指す開業医からは「壊れた医療機器の購入などの負担が重い」と経済的な問題を訴える声が相次いでいる。
日本医師会は会員らから寄せられた義援金を、診療所や自宅を失いながらも再開を目指して診療を続ける医師に1人月30万円を支援金として給付していく。
同医師会の葉梨之紀常任理事と日本医療救援機構の鎌田裕十朗理事長らが4月29日、宮城県石巻市や南三陸町などで、被災状況や再建に向けた課題について聞き取り調査を始めた。日本医師会は、岩手、福島、茨城県でも調査を行っている。
石巻市で内科医院を開業していた班目仁さん(53)は、津波で2階建ての医院が屋上まで浸水し、医療機器などすべてが使えなくなった。一時は勤務医への転身も考えたが、「慢性疾患を抱える患者にとって開業医は必要」と再開を決めた。
同市内の郊外に新たな診療所を開く計画だが、2億5000万円ほどかかる見込みで、「補助や融資の返済猶予期間を延長するなどの予算措置があれば」と話す。
葉梨常任理事は「開業医が減ると、地域医療体制が崩壊してしまう。被災地での開業医への支援は重要だ」と話している。
診療所の設備もお金バカにならないですもんねぇ・・・。
それでもこういうところで医療を行おうとする志をもった医師を、全国的にサポートしなければなりませんね。