結核菌(TB)に肺組織の破壊を働きかける酵素を特定したとする論文が、25日の米医学誌「Journal of Clinical Investigation(臨床試験ジャーナル)」に発表された。結核治療薬の早期実現を導く発見だという。
結核は感染力が強く、死者は年間約200万人にのぼる。結核の出現から数千年が経ったいま、ようやく仕組みが解明されようとしているところだ。唯一の治療法は抗生物質を長期間にわたり服用するというものだが、薬剤耐性株には効果がないことが明らかになりつつある。
英インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)など米英の研究チームは、結核菌と肺内の酵素MMP-1の増加との関連性を見いだし、肺組織の破壊をもたらしているのがこのMMP-1であると特定した。
研究チームが、結核菌に感染させたヒト細胞に既存のMMP-1阻害剤「Ro32-3555」を適用させてみると、結核菌におけるMMP-1の活動を抑制できることが分かった。 MMP阻害剤は関節炎の治療薬として1990年代に活発に開発され、一部はがんの治療薬としても期待された。人体への安全性は臨床試験で実証済みだ。
これだけ医療が進歩しても、古典的感染症との闘いには未だに終止符が打たれていませんからね。
そろそろ決定打がほしいところ。