免疫細胞にカルシウムが流入して特有のタンパク質が作られることにより、運動まひや感覚障害を主症状とする難病「多発性硬化症」の悪化が抑制されることを大阪大と理化学研究所免疫・アレルギー科学総合研究センター(横浜市)のチームがマウスで解明し、28日付の米科学誌イミュニティー電子版に発表した。
タンパク質はインターロイキン10(IL10)。大阪大の馬場義裕特任准教授は「流入には、カルシウム濃度を感知するセンサーが必須。センサーがよく働くようにしてIL10が多くできれば、多発性硬化症の治療法が開発できる可能性がある」としている。
多発性硬化症では脳や脊髄、視神経などに炎症が発生。発症や悪化の原因はよく分かっていない。
チームは、免疫細胞の一種「制御性B細胞」にあるカルシウムセンサーを欠損させたマウスと、普通のマウスに、多発性硬化症に似た症状が出る物質を注射。欠損マウスでは歩けないぐらい重いまひが起きた。
普通のマウスではセンサーが働くため、制御性B細胞にカルシウムが流入し、IL10が作られて炎症が抑えられ、神経症状の悪化も抑制されたと考えられた。
原因不明の多発性硬化症。インターフェロンを使うと再発が予防できるんじゃないかと言われたり、「いやでも打つたびにインフルエンザみたいな症状が出るから使いたくない」とかなんとか言われちゃったりと、まぁ正直確実なことは何とも言えないわけです。
あとはまぁ、症状が増悪するたびにステロイドパルスやったりとかの対症療法になりがちでした、が、今回の発見でより根本的な治療法に結びつけられそうです。全国の多発性硬化症患者の期待が集まります。