山形大農学部の阿部利徳教授(62)(遺伝育種学)は、山形県鶴岡市特産の「だだちゃ豆」の成分に、肝機能改善や疲労回復に効果があるとされるアミノ酸の一種「オルニチン」が、一般的な枝豆の最大約5倍も含まれているとの研究成果をまとめた。
阿部教授は「だだちゃ豆は味だけでなく、健康にも良いことが証明された」としている。来月、専門誌に論文が掲載されるほか、同市内で今月27日に開かれる研究報告会でも発表される。
阿部教授は20年以上前、だだちゃ豆を初めて科学的に調べた同学部の研究に携わったのをきっかけに、自身の研究テーマにした。鶴岡市高坂の農場で毎年、膨大なサンプルを栽培しており、今では第一人者として、農協職員らに栽培方法を教えるなどしている。
今回の研究は「だだちゃ豆はなぜ、ほかの枝豆と味が違うのかを、アミノ酸の成分から徹底的に調べたい」と思い立ち、約5年前に本格的な成分分析を始めた。
実験では、だだちゃ豆のうち「甘露」「尾浦」など代表的な9品種と、比較用に通常の枝豆を2種類用意。2007年産と09年産のさや各2つ分を液化して専用の機械で成分を分析し、23種類のアミノ酸を抽出した。
その結果、通常の枝豆は100グラムあたり10ミリ・グラム以下だったオルニチンが、だだちゃ豆では全ての品種で同10ミリ・グラム以上あった。
特に、ピークを迎える8月に市場に出回る「早生白山」「白山ダダチャ」では同30〜50ミリ・グラムと、明らかな差を示した。オルニチンの量が多いと言われるシジミは同10〜15ミリ・グラムで、多くのだだちゃ豆を下回っている。
また、通常の枝豆では、うまみを示す「スクロース」が同約3グラム程度にとどまるのに対し、だだちゃ豆では同4〜5グラムと、「明らかに甘くておいしいとわかるレベル」(阿部教授)で検出された。
阿部教授は「鶴岡の夏の定番となっている『だだちゃ豆に生ビール』という組み合わせが、科学的にも理にかなっていることがわかった。これまで、だだちゃ豆の成分を詳細に比較分析したデータはなく、後発の実験の基準にもなる」としている。
一方、なぜ、だだちゃ豆だけにオルニチンが多いのかは解明できていないといい、今後の研究課題となった。
阿部教授の研究成果は、3月発行の専門誌「育種学研究」に論文として掲載される予定。また、同学部の教授陣が今月27日に鶴岡市末広町のマリカ東館3階で開催する「地域在来作物の高度化利用研究」の報告会でも発表される。
なるほど。だだちゃ豆にビールは肝臓をサポートする意味でとってもいいかもしれません。
でもだだちゃ豆ってマイナーですよねぇ。全国的にもっと広まってお手軽に手に入れば、枝豆感覚で食べちゃうんですけども。