服用者を「ハイ」にさせ、食欲を刺激することでも知られる大麻の成分が、がん患者に食の楽しみを取り戻させるのに役立つとする研究結果が、23日の英医学誌「Annals of Oncology(腫瘍学年報)」に発表された。
カナダ・アルバータ大などの研究チームは、化学療法を受けている進行がん患者21人を対象に、大麻に含まれている精神活性化合物「デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC)」のカプセルかプラセボ(偽薬)を18日間服用してもらい、実験終了時にさまざまなアンケートに答えてもらった。
「食欲が以前よりもある」と回答したのは、THCを服用したグループで73%、プラセボを服用したグループで30%。「食べ物が以前よりもおいしくなった」がTHCグループで55%、プラセボグループで10%だった。
なお、摂取したカロリー数は両グループで大差がなかったが、THCグループでは、実験開始時よりもたんぱく質の摂取量が増え、風味の良い料理を味わって食べるようになったことが確認された。
さらにTHCグループはプラセボグループよりも睡眠の質が高く、リラックスの度合いが高いことも明らかになった。
がんまたはその治療は、しばしば患者の食欲を奪う。肉のにおいや味を不快に思う患者も多く、食事の量が減って、体重が激減することがある。
そのため同大のウェンディ・ウィスマー准教授は、味覚や嗅覚、食欲を失った患者にTHCを服用させることを推奨している。
THCは忍容性が高く、副作用の点でもプラセボとの差はなかったことから、長期的な服用も可能と考えられるという。
食欲が出てくるのならば、うまく使うのはアリですね。痛みを止めるときに麻薬を使うように、食欲がないときにこれをうまく薬として使えれば、相当の人が回復するのでは。たとえ回復しなくても、終末期医療で導入するのは良いと思います。