日本産科婦人科学会は23日までに、胎児が順調に育っているかを調べる妊婦の超音波検査(エコー)は、出生前に胎児の病気や異常を把握する「遺伝学的検査」になりうるとして、検査結果の慎重な取り扱いを求める倫理指針改定案をまとめた。4月の総会で正式決定する。
超音波検査では胎児が入っている胎のうや心拍の様子などをみるが、奇形などが偶然見つかって染色体異常が疑われる場合があり、遺伝学的検査にもなるとしている。
改定案では、偶然異常が見つかった場合、妊婦や家族に、検査結果をどう解釈すべきかや、どのような対応が選択できるのかなどを十分に伝える必要があるとした。初めから病気の有無を調べる目的の場合には、事前のカウンセリングを十分にするよう求めた。
近年、妊娠中にダウン症などの病気を見つけるため、胎児の首の後ろのむくみ「後頸部浮腫(NT)」の厚みを超音波検査で測定する方法が注目されているが、病気と判定するための信頼できるデータはないとして積極的な位置付けはしなかった。
また学会は、妊婦から採血し胎児の染色体異常の可能性を調べる「母体血清マーカー検査」に消極的な姿勢だったが、改定案では「妊婦や社会の認識やカウンセリング体制整備が進んだ」として、検査について適切に情報を提供すべきだとの方針に転じた。
難しい問題です。
後頸部浮腫について書いた当ブログのエントリーでは、この5年間に多くのお母さんたちからのコメントが寄せられました。
確かにエコーという、今では聴診と同じくらい簡便に行えてしまう検査で、胎児に異常があった場合、どうするのか、という、医療的というより社会的な側面が強いですね。障害があるかないか以前に、「遺伝子異常がある可能性がある」という代物なので。
ただ、そうやって曖昧になってはいても、結局決断を強いていることには変わりないわけで。難しいです、ホント。
医学処:後頚部浮腫像検査はあくまで参考程度に。