国内初の15歳未満の子供の臓器提供が実施される見通しになり、臓器移植でしか命が救えなかった子供たちに一筋の光がさした。しかし、専門家は「小児の臓器提供は現状の制度では、年に数例でるかどうか」とみている。
要因のひとつが、18歳未満の脳死判定を行う際に定められている「虐待」の有無の確認だ。厚生労働省は虐待について「児童虐待防止法で定められているような、身体に対する暴行やわいせつ行為、育児放棄(ネグレクト)など」としているが、現場からは基準があいまいだとの指摘がある。
さらに、小児の臓器提供を行うことができるとされている施設は平成22年9月末の時点で、大学病院や救命救急センター、小児専門病院など344施設で体制を整えているが、虐待を受けた18歳未満の子供から臓器提供が行われないようにするための虐待防止委員会の設置や対応マニュアルが整備されているのは65施設だけというのが現状だ。
一方、臓器提供には親の承諾が必要だが、幼いわが子が突然命を失うという事態に陥った親にとって、その判断を下すのは負担が大きい。臓器移植についての説明を行う移植コーディネーターからも「悲しみに暮れる子供の親に対して、臓器移植についての説明をするのは、これまでと違う慎重さが求められる」としている。
子供だからこそ、現実的に難しいことは多々あります。それでも、それをクリアーして臓器提供できる場合もある。その可能性を少しでも高めるために議論していくべきですし詰める必要性があるのです。