いろいろな組織の細胞がつくれる万能細胞のES細胞(胚性幹細胞)から、多種の細胞が重なっている網膜組織をつくることに、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の笹井芳樹グループディレクターらがマウスで成功した。視細胞を含む6層の立体構造。人工網膜をつくり、失明した患者に移植する再生医療につなげたいという。
グループは「眼杯」と呼ばれる目の元になる組織に注目。マウスのES細胞を培養液の中で浮かせた状態に保ち、眼杯ができる時に必要なたんぱく質を加え、マウスの胎児の眼杯にそっくりの組織を作りだした。
さらにこの組織の培養を続けた結果、6種類の細胞が層になり、網膜そっくりの組織をつくることができた。直径2ミリほど。今後は移植実験で働きを調べる。
網膜のうち神経を守る「色素上皮細胞」は、すでにES細胞やiPS細胞(人工多能性幹細胞)からつくられ、動物実験が進められている。今回のように、光を受けて電気信号に変えて脳に伝える「神経網膜」も含む立体組織ができたのは初めてという。「ヒトやサルのES細胞でつくった人工網膜をサルに移植する研究を始め、再生医療につなげたい」と笹井さんは話す。
これは凄い。網膜丸ごと作ってしまうことも出来るようになるのでは・・・。
人工網膜が出来たら、角膜以上に各種疾患で光を失った人に適用できそうです。