2006年06月21日

C型肝炎訴訟、原告側が勝訴!

C型肝炎訴訟、国・製薬会社に賠償命令…大阪地裁

 出産時の止血剤として血液製剤「フィブリノゲン」などを投与され、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染したとして、主婦ら13人が、国と製薬会社「三菱ウェルファーマ」(大阪市、旧ミドリ十字)など2社を相手に、損害賠償を求めた「薬害肝炎大阪訴訟」の判決が21日午後、大阪地裁であった。

 中本敏嗣裁判長は、国や企業の過失責任を認め、原告13人のうち9人に計2億5630万円の支払いを命じた。全国5地裁で係争中の集団訴訟で初の判決は、他の訴訟に影響を与える一方、約150万人に上るC型肝炎患者の救済を求める声はさらに強まりそうだ。

 原告らは、81〜88年にフィブリノゲンなどを投与された。このため、1人当たり6600万〜3300万円、総額7億5900万円の賠償を求めていた。

 訴訟は、〈1〉フィブリノゲンは、感染の危険性を上回る有効性があったか〈2〉危険性は予見可能だったか〈3〉国はどの時点で規制すべきだったか――などが争点となっていた。

 国は1964年、旧ミドリ十字の製剤製造を承認したが、国内外で数千人〜2万人の売血をプールした血漿が原料で、ウイルスを弱める不活化処理も不十分だったため、混入したHCVが製剤の投与で感染。

 87年には青森県の産科医院で大量感染が発覚し、同社は同年4月、非加熱製剤を自主回収したが、新たに承認を受けた加熱製剤でも感染者が続出し、同社推計で、少なくとも80年以降に約1万人が感染した。

 原告側は、製造承認時点で、感染の危険性はすでに知られていたとし、「治験などの客観的なデータが不足し、そもそも産科などでの大出血に対する有効性はなく、先天的な血漿疾患以外にも適応を承認したのは違法」と主張。

 77年にはアメリカで製剤の承認が取り消され、さらに、遅くとも82年までにC型肝炎が肝硬変、肝がんに悪化すると実証されたにもかかわらず、「国は、88年6月に緊急安全性情報が出されるまで、製剤の適応承認を見直さないなど危険性を放置した」と訴えた。

 一方、被告側は、多くの産婦を失血死の危機から救ってきたと強調。「国内外で有効性が認められ、専門家が当時の科学的知見に基づき製造承認した。88年のHCVの発見まで、C型肝炎は一過性の疾患と考えられており、重篤な病に移行するとの認識はなかった」などと反論していた。

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 まあ日本は認可取り消しが遅いですからね。本当にフィブリノゲンが効果ないのかどうかもあやふやなままですし(風邪薬を飲んだら治った気がするようなものかもしれません)。その場合医療側としては「使わないで死んでしまったら」と考えてもおかしくありませんよね。

 国としても、まさかC型肝炎がこんなことになるとは思っていなかったために対応が遅れたのでしょう。もし麻疹ウイルスや風疹ウイルスが何十年も継続して害を及ぼすようなものだとしたら、ワクチンを任意接種にした国は何十年後かに訴えられる可能性があるわけです。そういう意味で危険性を予見する分、国側は重大な責任をもっていると思います。

 しかし優先すべきは人であり国民であり患者であるわけです。少しでもリスクがあるのならもみ消さずに緊急宣言を出しておくべきだった。時代が時代だったこともあり、インフォームドコンセントがあまり行われていなかったため、このような悲劇が起こってしまったと思いますが、繰り返さないためにも、医療者(厚生労働省)は患者優先であるという意識を再度持たなければいけないと思います。

参考:
薬害肝炎・大阪訴訟、21日に地裁判決
薬害肝炎 大阪訴訟結審…6月21日判決
薬害を問う C型肝炎大阪訴訟(上)「25年でがんに」 “死の恐怖”と闘い
薬害を問う C型肝炎大阪訴訟(中)「人生狂わされた」
薬害を問う C型肝炎大阪訴訟(下)「多くが泣き寝入り」
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posted by さじ at 21:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感染
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