世界各国ではすでに使われている薬が、臨床試験(治験)の遅れから国内では活用できないといった事態をなくすため、東大付属病院など、豊富な治験実績を持つ六つの国立大学病院が連携することで合意した。
欧米諸国と同時に新薬の承認を実現するため、治験を効率的に行う“受け皿”を共同で作り上げるのが狙いで、治験の前提となる手続きの簡素化や、治験に協力する患者の共同募集などに取り組む。治験を担当する医療機関が垣根を超えて、こうした連携に乗り出すのは初めて。
連携に参加するのは、東大のほか、治験の実績が豊富な千葉大、筑波大、東京医科歯科大、新潟大、群馬大の各付属病院。
日本製薬工業協会・医薬産業政策研究所によると、日本国内における医薬品の承認の遅れは深刻で、2004年に世界で売り上げ上位100位に入った医薬品のうち約3割は、その時点で日本国内では未承認だった。さらに、その薬が海外で初めて承認されてから平均3年11か月も過ぎて、国内では承認されるという事態が続いているという。
これまで、海外の製薬会社が新薬承認の前提となる治験を日本国内で実施する場合、医療機関に個別に治験を依頼してきたが、今回の合意により、6大学については、海外の製薬会社などからの治験依頼の都度、幹事となる大学が広報、事務手続き、審査支援など取りまとめたうえ、治験を行うことになる。
6大学が豊富な実績を持つことから、今回の“受け皿”作りにより、海外発の医薬品の申請から使用開始までの期間が大幅に短縮されることになるという。
今回の取り組みについて、東大医学部付属病院臨床試験部の荒川義弘助教授は「医薬品の世界同時開発は時代の流れであり、患者のために日本も乗り遅れることはできない。今回の提携で実績を積み、日本の治験実施体制が整備されていることを世界にも発信していきたい」としている。
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海外で承認されてから3年以上待たないと日本では使えないのが現状…。承認されずに個人輸入のようなケースも。日本人の命がかかっていることなので、こういう活性化は大いにアリだと思います。有効なものは使いたいと思うのが人の常。