塗り絵が人気を集めている。それも、子どもにではなく、大人に。絵が苦手な人でも夢中になれ、嫌なことを忘れてストレスを解消できるという。脳全体を活性化させる効果から、認知症患者のリハビリ法としても注目されている。
アニメキャラクターなどを使った子どもの塗り絵とは異なり、大人の塗り絵は、ゴッホやミレー、葛飾北斎などの名画の下絵に、原画を参考にしながら色を塗る。子どもが使う普通の色鉛筆や、水彩画のような表現ができる水彩色鉛筆で、原画のイメージを再現するのが基本だが、自分なりの色づかいで、印象が異なる作品に仕上げてもいい。
「塗り絵は単純な作業に見えますが、実は脳全体を活性化させる大変有効な作業です」。「脳をリフレッシュする大人のぬりえ」(きこ書房)の著者で、杏林大精神神経科教授の古賀良彦さんは、そう語る。
古賀さんによると、塗り絵ではまず、視覚に関係する後頭葉が働き、側頭葉に蓄積された様々な記憶を参考にしながら、下絵を正確に把握していく。
どのような色を使うかなど、塗り方を決める段階では、前頭葉の前頭前野が活発化し、絵全体のバランスなどを判断するために頭頂葉も働く。実際に色を塗る時には、前頭葉の運動野が活発に働く。このような一連の働きによって、脳全体が活性化する。
運動や簡単な計算など、脳の活性化によいとされる方法は多いが「最も手軽に、ストレスなく取り組める方法として、塗り絵は幅広い年代にお勧め」と古賀さん。ただし、やりすぎは禁物で「1日30分を目安に、無理なく、毎日取り組んでほしい」と呼びかける。
古賀さんは以前、塗り絵の効果をみるため、認知症の高齢者に子ども向けの塗り絵を提供したが、「プライドを傷つけてしまったようで、取り組んでくれたのは10人中2人くらい」。それが、大人の塗り絵を使ってからは「ほとんどの人が熱心に色を塗ってくれる。隣の人の出来栄えを見て、話を弾ませる人も多い」と話す。
現在、人物画や浮世絵を多用した認知症患者向けの塗り絵づくりに取り組む古賀さんは「懐かしさや人恋しさから、お年寄りはそれらの絵にひかれるのではないか。会話のきっかけにもなる塗り絵を、福祉施設などで積極的に取り入れてほしい」と話している。
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大人用の塗り絵を考えた人は頭いいですね。暇をもてあましつつ、絵を描くスキルのない人でも手軽に出来る浮世絵の塗り絵なんかはお年よりにもウケそうです。
参考
http://clubks.com/goods/nurie.htm