藤沢市民病院が00年、同市の無職、鎌田春一さん(当時81歳)に適切な検査をせずに大動脈瘤を見落として死亡させたとして、遺族が同市に約5200万円の損害賠償を求めた訴訟で、横浜地裁は9日、遺族の請求を棄却した。河辺義典裁判長は「緊急検査が必要だったとは言えない。病院に過失はない」と退けた。
判決や訴えによると、鎌田さんは腹痛を訴え00年3月27日から同病院に通院。4月4日にCT(コンピューター断層撮影)検査を求めて同19日に予約を入れたが、同9日未明に腹痛が悪化。緊急CTを求めたが「予約を早めることはできない」と断られた。同12日に腹部大動脈瘤が破裂し、同病院で手術を受けたが、同10月20日、敗血症で死亡した。
大動脈瘤破裂後、両足は壊死して切断し、その痛みに苦しんで亡くなった。美智子さんらは藤沢市民病院の対応に納得できず02年、市を相手取り提訴した。だが3年半にわたる訴訟で、協力医師を探す困難さに直面した。
地裁は04年4月から、県内の医療機関の協力を得て医師を登録し、鑑定候補人として選ぶ制度を導入している。今回の事件でも地裁は登録医の一人を鑑定医として打診したが、同病院と関係がある病院の医師だったため遺族側は拒否。独自に鑑定医を探した。
知人のつてをたどり約10人と接触したが、「医者同士つながりがあるので、鑑定意見書を書くのは勘弁してほしい」「仕事が出来なくなる」と断られた。1年がかりで探し、意見書を引き受けてくれる医師2人を探し出した。意見書を書いている最中にも、地裁からは「双方の主張も出尽くしたと思うので」と、結審の打診を受けたという。鎌田さんの長女(54)は「中立の立場で意見書を書く医師を探す難しさを、裁判所は分かっているのか」と憤る。
遺族の男性は「医療紛争が起きた場合、公平に判断する第三者機関が必要では」と話している。
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そう、医療裁判では、公平に判断すべき機関が必要です。この件に関係せず、医学知識を全く持たない裁判官が判断を下すことに大きな問題があると思います。そのため、全く過失がないのに1億近い賠償金を払うことになった医師や、逆に、医者に殺されたといっても過言ではないのに棄却されてしまったケースなどがあります。双方にとって公正な裁判を行うためにも、第三者機関の存在が強く求められますね。